九州大学大学院農学研究院
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熱帯微生物学(Tropical Microbiology)ユニット

東南アジアの地域は微生物遺伝子資源開発の場として極めて重要な地域である。これまでの研究で、耐熱性乳酸発酵菌,耐熱性植物成長促進細菌,植物病原性真菌類や魚類病原菌等に対して抗菌性を示す稀少放線菌等をこの地域より分離している。このような環境保全以外にも、医療、発酵食品、バイオコントロールなどの応用を目指した新奇熱帯性微生物の探索を生物多様性条約の精神の下で遂行することで、我が国とのWin-Winの関係をさらに発展させなければならない。さらに、急速な人口増加と経済発展により、水質、土壌、大気汚染等の環境問題が深刻化し、農業地域での生産基盤環境の劣化、生活環境改善要求が顕在化している状況である。ここにおいて、アジア研究の最前線に立つ九州大学では土壌・環境微生物学の最先端技術と研究手法をアジア諸国に適用し環境改善・保全に貢献することができる。さらには、持続型生産社会・資源循環型社会の要諦であるバイオマス利用において、物質変換や環境浄化等、に果たす微生物学研究が担う役割、東南アジアの潜在的一次生産性とバイオマスの持続的可採量規模は極めて大きく、食糧安全保障や地球規模での資源循環型社会形成を考えたとき、バイオマス資源のリファイナリー、副生成物や微生物変換による資源循環,栽培土壌保全は今後ますます重要になる。本ユニットでは、このような直面する東南アジアの諸問題を微生物の観点から解決の糸口を探る。

  • 熱帯微生物遺伝子資源研究分野(Tropical Microbial Resources)

    本分野では,特にベトナムの地域特性を考慮した熱帯性微生物とその遺伝子資源探索と利用について研究する.温暖な気象条件でも冷却エネルギーを必要とせず,雑菌の混入機会を低減できる,耐熱性糸状菌,好熱性微生物,極限環境微生物,稀少放線菌等の微生物のみならず,微生物による代謝産物,酵素,生理活性物質,熱帯性発酵食品などが探索と研究の対象となる.

  • 環境保全微生物プロセス研究分野(Microbial Environmental Protection)

    本分野では,東南アジアでも典型的なアジアモンスーン気候を示すベトナムに適用可能な環境保全微生物プロセスについて研究を行う.ベトナムの一部地域で残留する含塩素化合物の分解と生物修復(バイオレメディエーション)プロセス,紅河デルタ,メコンデルタ流域の生物学的水質改善プロセス,一次及び二次産業廃液及び都市域生活排水処理プロセス,熱帯域農産廃棄物の処理や熱帯性未利用バイオマス資源化プロセスなどが研究の対象となる.