19年12月7日(金)3限目  13:00-14:30 4号館110教室
坂本雄司 氏 太陽化学 インターフェイスソリューション事業部 研究開発 次席
    「食品用乳化剤の応用開発あれこれ」


演者は現在、伝統的な天然素材(乳化安定剤、安定剤製剤、ゲル化剤、 増粘剤製剤、増粘多糖類単品)から最先端のナノサイエンスを駆使した新規素材まで幅広い食材を取り扱うとともに、機能性食品素材(緑茶抽出物、ミネラル・ビタミン、卵黄分画品)の開発に取り組んでいることをまず話した。次に、乳化の原理と乳化剤の構造・機能・特性や種類について、ビデオを使ってわかりやすく講義した。さらに、最新の界面制御技術について具体例を挙げて説明した。すなわち、界面制御技術は、食品用の界面活性剤が形成するマイクロエマルション(可溶化製剤)を利用することで、水不溶の機能性素材やスキンケア化粧品への応用が可能であること、界面制御技術によりナノ領域で栄養素の物性をコントロールして、食品の加工プロセスから消化吸収に至るまでに発生する課題を解決する「ニュートリション・デリバリー・システム」の開発が進んでいること、さらに精油類や油溶性ビタミン類を水中に透明溶解するスーパーエマルジョン」技術、不溶性物質などを微細化し、均一で再凝集が起こりにくい安定分散系にする「スーパーディスパージョン」技術が確立されたことを紹介した。最後に、演者が携わった「植物油の硬さを極少量で自在にコントロールできる」乳化製剤開発の秘話を紹介し、研究開発のきっかけはちょっとした偶然と直感力からはじまり、成功は飽くなき好奇心と執念から生まれること、そしてそれが次の商品開発、テクノロジーにつながる可能性があることを受講者に伝え、教育成果があった。

講義風景

 

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