平成20年度後期「食品開発学特論」

20年12月5日(金) 3限目  13:00-14:30 4号館110教室
米満 宗明 氏
上海味の素食品研究開発センター(有) 総経理(社長)


「海外現地に根ざした商品開発」~ポーランドでのスープヌードル開発事例~

実施報告

 本講義では,まず,味の素の世界戦略,本人が,ポーランドで数年間に亘って取り組んだインスタントラーメン開発について詳細に説明された。まず,他国での食品開発には,その国の文化,食習慣,などを知ることが必要で,そのためにはその国の歴史についても知識が必要である。まず事前の調査から,ヨーロッパではスープの消費が多いこと,ポーランドにはベトナムからの留学生が多く,彼らが大量にインスタントラーメンを持ち込んでいることなどからなじみもあり,ビジネスとして成り立つと判断されたため,実際に新製品開発フローに従って製品開発の過程が詳細に説明された。ポーランドで実際に販売している製品が回覧され,実際に開発した製品の市場試験では,それぞれの家庭では正確な量のお湯を入れて,正確な時間復元して食べるわけではないので,期待される本来の製品とは異なった状態で食べられてしまったことで,期待された味やテクスチャーとは全く異なったものができてしまい,当初は評判が悪かったことなど,新しい製品を販売する難しさが語られた。最後に,1.何が本当にやりたいことか常に考える。2.自分のコアとなる技術を持つ、磨く。3.文系/理系の垣根は案外低い。4.異なる考え方、文化を許容する。ことが重要であると締めくくられ,食品産業界を目指す学生への指針が示されるなどの教育効果があった。

講義風景

講義資料