平成21年度後期「食品開発学特論」

 21年10月13日(火)3限目 13:00-14:30  4号館110教室
 阿紀 雅敏 氏 
 カルビー株式会社 上級常務執行役員  R&Dグループコントローラーl R&DDEセンター長


■「カルビーにおける商品開発 :消費者起点の農工一体型経営」

本講義では、ポテトチップスを例として、農工一体型経営の取り組みの重要性について解説された。製品を一年間安定的に生産するためには、ポテトチップスの原料となるジャガイモの収穫時期は9-10月であることから、原料を一年を通して安定的に入手するためにはジャガイモの品質を変化させないで長期間(半年以上)貯蔵する技術が必要である。しかし、ポテトチップスに適した品種、ポテトスティックに適した品種など、製品によって最適な品種も異なるので、貯蔵性もかわってくる。これらの要因を解決し、消費者に「パリッと新鮮」な製品を365日提供するためには発芽防止技術、貯蔵技術の向上に加えて、品種の改良も必要となることが示された。また、心地よい食感の製品は壊れやすいため、これが輸送中には壊れて商品価値が低下する原因でもある。このような二律背反の問題を粘り強く解決することで、消費者に愛される高品質な製品を安定的に販売することができるようになることが強調された。本講義の内容は,長期間安定的に消費される商品開発に付随する様々な問題点の指摘とその対策が示され,食品開発においては、二律背反的な問題を解決し、原料から製品までの一貫した研究体制の整備が今後はどの食品関連企業でも重要であることを理解させるなどの教育効果の高いものであった。

講義風景

 

 

講義資料