平成21年度後期「食品開発学特論」

 21年12月4日(金) 3限目 13:00-14:30 4号館110教室

 松原 弘明 氏 
 DIC株式会社 石化技術本部 フィルム技術グループ


■「食品を生かすパッケージング開発」

本講義では、まず、食品用パッケージの素材であるプラスチックの性状など基本的な説明が行われた。また、食品用包装に必要とされる機能として、利便性、保護性、経済性、商品性、作業性があることが示された。食品用のパッケージとしては、まず中身を安全に保つことが重要で、包装したままで加熱殺菌されることも多いため、熱に対する耐性も大きなファクターであるが、密閉部分が開けやすいことも要求されるのでこれらに対応する技術の開発が必要で、特に油を多く含む食品を密封しようとすると油のためシールの強度が低くなることもあるので、食品毎の対応も必要となるなどの問題点が示された。さらに、環境負荷の低減、包装材料への食品の香り成分の吸着を防がないと食品本来の香りが低下し、逆に包装材料からの香りの移行を防止する必要性もある。医薬品では特に湿布薬などの有効成分は揮発性であるため現在、フイルムに吸着されることで有効成分濃度が大幅に低下する問題があり、これが解消されると、湿布役の有効成分濃度を減らすことも可能で、経済的メリットも大きくなることなどが説明された。食品や医薬品を安全に高品質な状態で、流通させるには 包装は不可欠であり、二酸化炭素の発生の削減、食糧資源の有効活用のためには「包装」についての技術開発が食品そのものの研究とともに重要であることを理解させるなどの教育効果の高いものであった。

講義風景

講義資料