平成21年度後期「食品開発学特論」

 21年12月15日(火) 4限目 14:50-16:20 4号館110教室

 財前 孝亮 氏 
 キユーピー株式会社 品質保証本部 品質保証部 部長


■「キユーピーの品質保証体制」

本講義では、キユーピーの製品群について説明が有り、最も食品によるリスクの高い乳児が食べるベビーフードは食品の品質の原点であり、「良い商品は良い原料からしか生まれない」ことから、原料メーカーを巻き込んで品質の取り組みを行っていることが紹介された。キューピーの品質保証システムについての考え方は、品質を守る仕組みとこれを守る人が車の両輪となって、製造の各プロセスを動かして品質を保証することであり、それぞれについての取り組みが紹介された。原料受け入れから、原料の秤量、小分け、配合に至る全ての工程でデータの登録、照合を行って人為的なミスを減らし、最終製品の表示、出荷管理、賞味期限の管理も一括して二次元コードで行うシステムであり、工程の履歴、原料の遡及、製品の追跡の全てのトレーサビリティーが確保されることが解説された。また、製品の品質保証は新製品開発の段階でも行われており、潜在的リスクを抽出し、これを予防する、表示ミスをなくすための取り組みや仕様書作成システムとも連携して、製品を品質保証する体制が構築されていることが紹介された。最終的には、品質を支えるのは人であり、人材の育成が最も重要であると強調され、その取り組みが紹介された。今後も高品質で、さらに使いやすい製品開発のためには、ユニバーサルデザイン、環境への対応、安全/安心 が重要なテーマであり、これらについての取り組みも説明された。具体的には、容器の軽量化、点字の刻印、開封後の保存日数の目安の表示などである。本講義の内容は,製品の品質を保証するためには、製品開発段階での予測も含め、原料から製造工程、製品,流通までの一貫した品質保証体制の整備が食品関連企業では重要であることを理解させるなど教育効果の高いものであった。

講義風景

講義資料