平成21年度後期「食品開発学特論」

 22年1月22日(金)4限目  14:50-16:20 4号館110教室

 三輪 典子 氏 
 味の素株式会社 アプリケーションセンター

■「食品加工への酵素の応用」

本講義では 食品加工への酵素の応用について 講師の専門とするトランスグルタミナーゼを中心に解説が行われた。  まず、食品用酵素としては種々のものが有り、2007年度の食品添加物の市場(9300億円/年)の中で、食品用酵素のしめる割合は、186億円/年で、さらにこの酵素製剤中にトランスグルタミナーゼの占める割合は24%と高いことが示された。本酵素は、1970年代に見出され、1993年に製剤化されて以来、用途開発が継続的に行われているものである。その用途として、まず、低級ハムでは、本酵素はピックル液に添加されるが、溶液中で反応が進行して粘度上昇するため使用が困難であったが、酵素活性を一時的に抑制する方法が見出され、トランスグルタミナーゼが使用できるようになったことが、また、ヨーグルト用としては熱履歴の低い乳に添加しても反応性が低いが、これはトランスグルタミナーゼ阻害剤が存在するからで、これを抑制することで熱履歴の低い乳への応用が可能となったことなどが説明された。また、αアミラーゼを用いたご飯の老化防止なども紹介された。   本講義の内容は、新食品の開発に利用される酵素製剤の基礎とその応用においては、食品の種類が多いことから、生じる問題も多く、これを解決することが用途拡大につながるため、企業の技術者としては、製造現場の技術も含めて様々な分野の基礎知識が問題解決には必要になることを理解させるなど食品産業界を志向する学生に対して教育効果の高いものであった。

講義風景

講義資料