九州大学大学院 システム生物学 細胞制御工学研究室

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細胞制御工学教室連絡先

〒812-8581 福岡市東区箱崎6-10-1
 九州大学大学院 農学研究院 生命機能科学部門 システム生物工学講座 細胞制御工学分野
   准教授 片倉 喜範 (KATAKURA, Yoshinori) E-mail:katakura★grt.kyushu-u.ac.jp
   助 教 照屋 輝一郎 (TERUYA, Kiichiro) E-mail:kteruya★grt.kyushu-u.ac.jp
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研究項目

□ 抗酸化ストレス疾患因子の探索と臨床食品機能工学への応用(照屋)

1. 抗腫瘍効果を持つ機能性食品の開発 ー 酵素消化低分子化フコイダン ー

 分化機能を発現する機能性培養細胞株は、医薬品のみならず、抗生活習慣病効果を持つ機能性食品の開発に利用できる。
 フコイダンはワカメ、コンブ、モズクなどの海藻由来の硫酸化フコースを多量に含む粘質多糖類である。最近、フコイダン、とりわけ、モズク由来酵素消化低分子フコイダン抽出物(LMF)が末期ガン患者の症状改善に効果を示すことが明らかとなり、統合医療において注目されている。実際、久留米大学医学部病院においてフコイダンのみの飲用により末期肝臓ガン患者のすべてのガンが消失したことが学会で報告された。当研究室では統合医療に関心を持つ医師と情報交換を行いながら、ガンの統合医療に貢献できる機能性食品の開発を目指した基礎研究を行っている。LMFは担ガンマウスにおいて強い腫瘍増殖抑制及び延命効果を示し、TLR4 を介したIL-12 誘導やin vivoでのナチュラルキラ−細胞の作用増強効果などの腫瘍免疫増強効果を示した。また、ヒト正常線維芽細胞の増殖は抑制しないにもかかわらず、種々の足場依存性細胞及び非依存性ヒトガン細胞株の増殖を容量依存的に強く抑制した。LMFは強い細胞内過酸化水素消去作用を示し、ガン細胞の転移・浸潤及び血管新生を抑制するとともに、腫瘍免疫を活性化した。さらに、FEが正常リンパ球にはアポトーシスを誘導しないにも拘わらず、ガン細胞には強いアポトーシスを誘導することを明らかにした。LMFのアポトーシス誘導作用はデスシグナルの活性化の経路及びその他の経路によって引き起こされることが示唆された。正常細胞がガン化する過程で細胞表面糖鎖構造に変化が起こり、マンノース糖鎖を認識するコンカナバリンA(Con A)に対する反応性が変化することは古くから知られている。N-アセチルグルコサミン転移酵素V(GnT-V)及びその上流の転写因子Ets-1遺伝子発現は多くのガン細胞で亢進しており、ガン細胞の表面糖鎖構造の変化及び転移・浸潤能の獲得と深く関わっている。LMFはガン細胞特異的にGnT-V及びEts-1の遺伝子発現を強く抑制し、Con A誘導性アポトーシスを増強することが明らかとなった。

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2. 抗メタボリックシンドローム効果を持つ機能性食品の開発 ー 発酵乳ケフィア ー

 分化機能を発現する機能性培養細胞株は、医薬品のみならず、抗生活習慣病効果を持つ機能性食品の開発に利用できる。
 
発酵乳ケフィアはグルジア共和国コーカサス地方の長寿村で2000年以上前から飲用されている健康飲料である。我々は種々の機能性細胞を用いてケフィア中のリン脂質がインターフェロンを誘導するなど生体の免疫力を増強し、ウイルス感染阻止能をもつことを明らかにした。紫外線は細胞内に大量の活性酸素を発生させるとともに、染色体でDNA 障害を引き起こし、シミ、ソバカス、皮膚ガン等の原因となる。ケフィア成分は紫外線による活性酸素生成を強く抑制するとともに、DNA 修復活性を増強し、細胞のアポトーシス死を抑制した。現在、DNA 修復酵素誘導因子の同定を行っている。また、長崎大学及び広島大学との共同研究によりケフィアを飲用させた動物では腸、脾臓、胸腺細胞の放射線によるアポトーシスが抑制されるなど放射線障害が抑制されることが明らかとなり、広島大学でのガン患者を対象にした臨床試験でも副作用軽減効果が認められた。また、ケフィア成分は1型および2型糖尿病モデルマウスの血糖値上昇を強く抑制し、培養細胞を用いた実験では筋肉や脂肪細胞への糖取り込みを強く促進した。詳しく解析した結果、ケフィアはインスリンシグナル経路上流域を活性化する作用とPI 3-キナーゼの下流で糖取り込みを活性化する2つの作用点を有することが明らかとなった。さらに、ケフィア成分は脂肪細胞におけるエネルギー代謝を促進することにより、抗メタボリック症候群効果を示すことも期待された。現在、ケフィア中の有効成分の単離同定ならびに作用機序の解析を行っている。

 

3. 健康に良い水に関する研究とナノ医学への応用(機能水・機能性食品・エネルギー寄附講座

 水は生命体にとって最も重要な物質であるが、いまだにその機能が充分に解明されていない不思議な物質でもある。我々は食物を摂らなくても一ヶ月以上生存することができるが、水を飲まないと3日で生命が危機にさらされ、1週間程度で死亡する。人体からは絶えず一定量の水が失われていくため、毎日新鮮な水を摂取する必要がある。このことから、人体は水が入っては出ていく一種の川であると考えることができる。人体の中の水は心臓のポンプ作用により激しく流れている。最近、この水の流れや分子レベルでの動きが臓器の形の維持や細胞機能の活性化に重要な働きをしていることが明らかになってきた。

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