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ヒメダカ(Oryzias latipes)

水温25度、明期14時間:暗期10時間の環境で飼育しています。以下に飼育方法の概要を記載します。

必要な尾数の計算

まず初めに実験計画を立てて、必要な尾数を計算します(メダカは成魚になるまで約3ヶ月かかります)。

採卵

当研究室では朝7時にメダカ飼育室の明かりがつきますので、おおよそそれくらいの時間で産卵が始まります。とは言っても、採卵するのは9時ごろで大丈夫です。

採卵の方法 朝、抱卵しているメスをネットですくい、指もしくは駒込ピペットで卵を優しく回収します。
付着糸の除去 ピンセットを使用して付着糸を絡めとる、あるいはネットで洗うなどの方法で付着糸と未受精卵を取り除きます。
ラベリング 水道水を入れたシャーレに卵を回収し、採卵日、系統名、採卵者名等の必要な情報をラベリングします。

卵のお世話

水温が25度程度の場合、ヒメダカの受精卵はおおよそ7-10日で孵化します。ちびめだかずが孵化するまで、水カビなどが発生しないように水換えを行います。

最初の2-3日間 最初の数日は水カビが発生しやすいため、毎日2回(朝、夕)水換えを行います。この時の水換えは水道水を使用すると水カビが発生しにくいです。なお、水換えのたびに死亡した卵は取り除きます。
約3日経過後(眼の形成後) 毎日1回水換えを行います(土日はお休みで大丈夫です)。これ以降は水換えは脱塩素水(汲み置きの飼育水)で行います。
水換えの方法 駒込ピペットを使ってシャーレ内から水を抜いて、綺麗な水(水道水or飼育水)を入れる、というのを3回ほど繰り返します。

仔魚・稚魚のお世話

孵化した直後(5 mm程度)のちびめだかを仔魚、少し大きくなって魚っぽい体形になったちびめだかを稚魚と呼びます。

水槽 孵化した仔魚は先端を広げたプラスチック製ピペット(乾燥棚に転がってます)で優しくプラスチック水槽に移します(最大100尾/水槽)。
水深 孵化したばかりの仔魚は泳ぎに不慣れなので、水深は浅め(5 cm程度)にします。
孵化後1週間くらいは粉餌を食べ残しが出るくらいあげます(残餌は毎食後に掃除します)。その後はブラインシュリンプを少し食べ残すくらいあげます(残餌は毎食後に掃除します)。
水換え 基本的には必要ありません。残餌の掃除をするときに減った水をその都度補充するような形で大丈夫です。
エアレーション 基本的には必要ありません。飼育密度が高い場合はバブルストーンを使って、優しくエアレーションしてあげてください。
飼育密度 孵化後2週間程度経過し、仔魚がしっかり泳ぎ始めたら5尾/Lくらいに調整してあげると良いです(小型・中型アクリル水槽)。

成魚のお世話

孵化後2ヶ月程度経過すると、体長が2-3 cm程度になり、少しずつ産卵を始めるようになります。孵化後3ヶ月程度経過すると体長は3.5 cm程度になり、立派なおとなメダカになります。

飼育密度 孵化後1–1.5ヶ月経過後は2尾/Lが目安です。
20–30分で完食できる量の餌を与えます。成魚50尾に対してブラインシュリンプ4 mLくらいが目安ですが、水槽の広さなどにより大きく異なるので、メダカが必要量を食べられているか自分でチェックしましょう。
エアレーション フィルター付きのエアレーション器具を使用し、水面が軽く揺れる程度にエアレーションします。
水換え 1週間に1度、1/4–1/3量の水を交換します。なお、飼育水の状態が良い場合、エアレーションフィルターの掃除は脱塩素水で行います。

実験&実験後

きちんと飼育できていれば約3ヶ月でメダカは3 cm程度の成魚に成⻑します。それくらいの大きさであればOECDのガイドラインの条件も満たしており、自信もって実験に取り組めます。実験頑張ってください。実験後に残ったメダカたちは寿命まで当研究室で飼育します。

ジャワメダカ(Oryzias javanicus)

飼育水が人工海水(3.5%)で水温は26度という違いはありますが、それ以外は上記(ヒメダカ)と同じような環境で飼育できます。