九州大学 数理モデリング学研究室
魚行動の数理モデル
魚行動の数理モデルは、鳥や魚が群れをなして行動するメカニズムを記述するために導入された。先ず微分方程式モデル
について数値的な調査を行い、初期値依存性、パラメータ依存性などについていくつかの興味深い数値例を見出した。
その後、各要素の行動にノイズ効果を組み入れた確率モデルについて調べた。数値計算により解の大域的存在、群れ形成の
各種の撹乱に対するロバスト性などについて調べた。
今後の研究計画としては、障害物、捕食者や食物源が存在したときのグループ行動パターンについて研究する。
今後はさらに研究を発展させて、社会性昆虫の動態モデルにつても研究を発展させたいと考えている。
アンビエントシステムなどの新情報システムを構築するために私の知識を利用したい。
森林動態
森林資源の保全は今後の環境問題の大きなテーマの一つと考えられる。森林保護のためには、先ず森林システムがどの
ようなメカニズムで拡大・減少するのかを知ることが重要。それが明らかになれば保全対策として何が重要かについて
の知見を得ることができる。微分方程式による森林動態モデルはAntonovsky等により初めて導入された。
実際、森林システムには気候変動、災害(洪水、ハリケーン、竜巻、地震、津波)、汚染、人間の行動などの周りの環境条件
のノイズが大きく影響していることが考えられる。Antonovskyのモデルではランダムな要素(ノイズ)は考慮されていない。
私は、確率効果が加わった動態モデルに興味を持った確率モデルについて解の漸近挙動を調べることにより森林の安定性と
不安定性について調べた。解析的結果としては、一意的な正値解の時間大域的存在、大域解の一様有界性、ノイズ項が十分
大きいときの零解への収束性について証明した。その他いくつかの場合について解の数値計算を実行した。
今後の研究計画としては、若木クラスと古木クラスと種子とノイズを含む森林動態を研究する(cf.図)。
木や種子との局所的な相互作用の規則により森林動態を確率分散方程式として打ち立てる。期待結果には
- ノイズの影響の下に木と種子の密度の変化の包括的な理解。
- ノイズに対する局所的な相互作用の規則のロバストネスまたは構造安定。例えば、ノイズに対する森林の持続可能性の
限界が示される。