活動
 

 日中学術シンポジウム 東アジアにおける食料の安全性と農業環境資源リスク
―技術開発と制度設計の展望― (11~17-Oct-2008)

「日中学術シンポジウム 東アジアにおける食料の安全性と農業環境資源リスク―技術開発と制度設計の展望―」および関連行事を、2008年10月11日~17日の期間、九州大学大学院農学研究院東アジア農業資源環境リスク研究センター、中国農業科学院農業資源与農業区画研究所東亜農業資源環境研究センター、および、中国人民大学農業・農村発展学院の主催により開催しました。中国からの参加者24名(うち学生11人)を含む、延べ276名が参加し、研究者、一般市民ならびに次世代を担う学生間の国際相互交流が行われました。

 

 

 

10月11日には、持続的な食の安全安心が確保できる次世代食料生産流通システムの構想、設計、実現などをテーマとして、一般公開シンポジウムを開催し、127人が参加しました。日中の研究者ら(日本側5人、中国側5人の計10人)による国際的な視点からの講演が、日中同時通訳によって行われました。講演では、中国人民大学農業・農村発展学院 曾寅初教授、九州大学大学院農学研究院 南石晃明教授、中国農業科学院農業資源与農業区画研究所東亜農業資源環境研究中心主任 宋敏教授、九州大学大学院農学研究院 福田晋准教授、中国農業部食品安全中心 崔野韓博士、全国農業協同組合連合会 福岡県本部 木原繁幸営農技術顧問、中国人民大学農業・農村発展学院 唐忠教授、福岡県農林水産部農林水産政策課 輸出促進室 稲永裕二室長、中国人民大学農業・農村発展学院 王志剛副教授、九州沖縄農業研究センター 笹原和哉主任研究員から、それぞれの研究成果や社会・研究動向について、貴重な情報提供がなされました。講演に対して会場から多くの質問が寄せられ、非常に活発な質疑・討論が行われました。シンポジウムの様子はNHKニュースや日本農業新聞でも報道され、極めて好評でした。

シンポジウムの開催趣旨・プログラムはこちら

 

 

 

シンポジウムに続き、10月12日からは,日中の研究者・学生の現地視察や研究会等の一連の学術行事が1週間に渡って開催し延べ149人が参加しました。10月12日には、福岡県農業総合試験場・JAあさくら視察、10月13日には食料農業資源環境に内在するリスクとその管理に関する学術的国際共同研究会、10月14日には、福岡県前原市農業視察(前原市役所、農事組合法人さなぼり組合、ファームパーク伊都国、JA糸島前原カントリーエレベーター、長浦牧場、JA糸島産直市場「伊都菜彩」)、10月15日には、福岡市市場視察(青果市場、食肉市場)、10月16日~17日には、九州沖縄農業研究センターと阿蘇農業現地視察が行われました。この一連の行事の開催は、最近の食の安全・安心問題への関心の高まりのなか時宜を得たもので、この科学技術国際交流行事を通じ、日中の研究者、実務者および学生の間において、様々な問題意識の共有が促進されたことは、将来の持続可能な食料生産流通システムの構想、設計、実現など、課題解決への展望にとってたいへん意義深いものでした。

 
 

 第三回 東アジア農業・資源・環境フォーラムを開催 (18-Dec-2007)

 

2007年12月15日(土)・16日(日)、北京西郊賓館を会場に、第三回東アジア農業・資源・環境フォーラムが開催されました。今回のフォーラムは中国農業科学院農業資源与農業区画研究所(東アジア農業資源環境研究センター)と九州大学東アジア農業資源環境リスク研究センターが共同主催し、中国農業部科教司と日本学術振興会(JSPS)が共催しました。九州大学農学研究院東アジア農業資源環境リスク研究センター今泉勝己センター長(農学研究院長)、横川洋農学研究院副院長らも参加しフォーラムは成功裏に開催され、大きな成果をあげました。

 

 

今回の中日シンポジウムでは「東アジア地域食品供給システム及び安全性」をテーマにして、食品の安全・安心、農業資源環境と農業技術・農業生産基準(GAP)、食品供給、貿易と食糧安全、東アジア食品安全及び国際協力などをめぐって議論と交流が行われました。中国農業部科教司、日本国在中国大使館経済部、日本学術振興会(JSPS) 北京事務所、九州大学農学研究院、九州沖縄農業研究センター、韓国農業振興庁、中国農業部農業科技発展センター、中国国家食糧管理局、中国人民大学、中国 農業大学、華南農業大学、北京航空航天大学、遼寧大学、瀋陽農業大学、北京師範大学、中国農業科学院、上海市社会科学院、特定非営利活動法人GAP協会、上海NPO法人消費者食品安心協会,北京理化分析センター、中良美裕有機穀物製品有限公司、農民日報、中国県域経済雑誌から約80名の政府官員・研究者・記者が参加しました。

 

 

研究報告会において、九州沖縄農業研究センター有原丈二センター長、中国農業部周云龍処長、日本GAP協会 田上隆一専務理事、韓国農業振興庁李喆熙博士、中国農業部農業科技発展センター崔野韓処長、九州大学大学院農学研究院前田幸嗣准教授,中国国家食糧局丁 声俊研究員,中国農業大学陳永福教授,東アジア農業資源環境研究センター宋敏教授、九州大学大学院農学研究院南石晃明教授、中国農業科学院胡定寰研究員・ 趙志超研究員,上海NPO法人消費者食品安心協会秦野彰二理事,北京理化分析センター張経華副研究員、九州大学生物資源環境科学府 黄波、中国農業大学 王寒笑、中良美裕有機穀物製品有限公司 劉建立理事長はそれぞれの研究成果を報告しました。参加者はフォーラムのテーマを絞り熱く交流し、どうのように東アジア地域における農業・資源・環境研究のネットワークを構築するについてそれぞれの意見を発表しました。

また、次回の第四回東アジア農業・資源・環境フォーラムの開催について関係者が協議し、2008年10月に福岡市において開催されることが決まりました。

 
 

 日中国際農産物貿易・食品安全シンポジウムを開催 (17-Nov-2007)

 

2007年11月17日(土)、中国人民大学明徳ビル931会議室を会場に、中国人民大学農業与農村発展学院と九州大学農学研究院東アジア農業資源環境リスク研究センターおよび農業資源経済学部門の共同主催中日シンポジウムが開催されました。中国人民大学・九州大学・中国農業科学院から約30名の研究者及び学生が参加者しました。今回の中日シンポジウムは「国際農産物貿易・食品安全」をテーマに開催されました。開幕式にあたって、温鉄軍院長と伊東正一部門長がそれぞれ挨拶を行い、零細農家経営などの中日共通の特徴を指摘し、グローバリゼーションにおける農業への挑戦と中日学術交流の重要性について強調しました。甲斐諭教授(九州大学)は「Promoting Conditions of Food Safety and Trade for Economic Globalization(グローバリゼーションにおける食品安全及び国際貿易)」について、唐忠教授(中国人民大学)は「The impacts of different FTA scenarios in East Asia on China's agricultural trade」(東アジアFTAの可能性及び農業に与える影響)について基調講演を行いました。

 

 

研究報告会は三つのテーマに分けて行われました。「国際貿易及びコメ市場」について、伊東正一教授(九州大学)は「Bio-Energy, Global Crop Competition and Weakening Demand for Rice in Asia(バイオエネルギー・世界穀物競争及びアジアコメ需要の減少)」、王志剛準教授(中国人民大学)は「A Hedonic Price Model for Rice Market in China(中国コメ市場におけるHedonic価格モデルの応用)」をテーマに報告しました。「企業行動及び消費者態度」について,鄭風田教授(中国人民大学)は「Adoption of HACCP in Chinese Food Sector(中国フードシステムにおけるHACCPの導入)」、矢部光保准教授(九州大学)は「Social Acceptance for Environmental Payments in Japan: Comparison of Contingent Valuation Method and Choice Experiments(日本農業環境直接支払の社会受容態度:CVMと選択実験法の比較)」、曾寅初教授(中国人民大学)は「Consumer's Willingness to Pay for Organic Food in the Perspective of Meta-analysis(メタ分析による有機食品への消費者支払意思評価の結果バイアス分析)」をテーマに報告しました。「農業生産及び技術転換」について、南石晃明教授(九州大学)は「Perspectives on Food Safety and Risk Management of Agrochemicals in Japan(日本における食品安全及び農薬リスク管理の展望)」、孔祥智教授(中国人民大学)は「Green Technology Adoption Behavior of Rural Household in China(グリーン技術に対する中国農業の採用行動)」をテーマに報告しました。

また、参加者は中国人民大学農業与農村発展学院と九州大学農学研究院東アジア農業資源環境リスク研究センターおよび農業資源経済学部門の人材共同養成及び共同研究について検討し、翌年度もこのシンポジウムを継続することで合意しました。

 

 

2007年11月18日(日)には、中国人民大学農業与農村発展学院副院長曾寅初教授と九州大学代表者は,北京近郊の順義区燕趙果品専業合作社を見学し、北郎中村新農村建設モデル及び順義「三農」研究会にも参加しました。

 

(Last updated on 2-Dec-2008)