第22回酵母合同シンポジウム

メインテーマ

アジアへのゲートウェイ九州から発信する酵母の魅力!

趣意

 我が国の酵母関連11団体(酵母遺伝学フォーラム、酵母研究会、酵母細胞研究会、日本イースト工業会、イーストワークショップ、糸状菌分子生物学研究会、新産業酵母研究会、清酒酵母・麹研究会、(一社)日本医真菌学会、日本乳酸菌学会、(一財)バイオインダストリー協会)が主催または共催し、酵母に関連する幅広い分野の最新の知見について、2年に一度議論する「酵母合同シンポジウム」が、30有余年の長きにわたって開催されてまいりました。前回は平成26年(2014年)慶應義塾大学医学部 西澤正文先生を実行委員長として東京で開催されましたが(平成28年は第14回酵母国際会議のため不開催)、今年9月に、第22回の酵母合同シンポジウムを博多で開催する運びとなりました。酵母合同シンポジウムを九州の地で開催するのは初めてのことであり、メインテーマも、九州という地に思いを馳せていただきたいとの思いも込め、「アジアへのゲートウェイ九州から発信する酵母の魅力!」とさせていただきました。

 ご承知のように、一昨年は、大隅良典東京工大栄誉教授が、酵母を材料としたオートファジーの基礎的研究でノーベル生理学・医学賞を受賞されましたが、それまでにも2013年にはRandy Schekman 教授が小胞輸送の制御機構によって、さらに遡れば、2009年にはJack Szostak 教授がテロメアの研究で、2001年にはLeland Hartwell 教授、Paul M. Nurse教授が、酵母を材料とした細胞周期の研究によって、それぞれノーベル賞を受賞しています。このように、酵母は基礎生物学の分野において非常に重要なリファレンス生物として確固たる地位を確立してきましたが、同時に、発酵・醸造産業、あるいはパン製造、工業用エタノールや医薬品生産のための細胞工場として、私たちの日常生活においても大きな貢献をしていることは衆知のごとくであります。酵母に関わる研究者、技術者は、基礎から応用まで幅広い分野に携わっており、さらに、近年のゲノム編集や合成生物学などの新しい技術の発展によって、基礎と応用の垣根も無くなってしまったと言っても過言ではありません。合同シンポジウムの開催意義についてこれまでにも色々な議論がありましたが、基礎と応用というような従来の学問分類を超えて、個別の研究会では聞けない話題について議論ができる場を提供することも、その役割のひとつであると考えています。

 私ごとで恐縮ですが、大阪大学を3年前に定年退職し、熊本にある崇城大学に移ってまいりました。私自身、研究に対する考え方やテーマは、いずこの場所に行っても変わらないものと思っておりました。しかし、九州の地に来てみると、様々な原料を用いて製造する焼酎や、明治・大正時代にはベトナムやミャンマー、タイなどアジア各地の米が輸入されて原料となった泡盛の研究に携わっている研究者、技術者の方も多く、酵母に関連した研究や醸造産業も、こうしたアジアとの関わりの歴史の中で育まれてきたようにも感じています。そのような意味も込め、九州での開催を象徴するセッションとして、1日目のセッションで焼酎関連の講演を企画し、その日の懇親会では九州・沖縄の多彩な焼酎を大いに楽しんでいただくことに致しました。さらに、日本の酵母研究者として初めてノーベル賞を受賞された大隅良典先生にご講演をお願いしましたところ、快くお引き受け下さいました。

 また、酵母合同シンポジウムでは初めてのことと思いますが、我が国における微生物学関連学術団体の連携強化と微生物学分野全般の発展を目的とする「日本微生物学連盟」との共催という形で開催させていただく予定です。

 最後に、少々異例ではありますが、九州には、現時点で合同シンポジウムの受け皿となる酵母の研究会がありませんので、今回の酵母合同シンポジウムの実行委員会には、関西の「酵母研究会」(高木博史 会長)にご協力をお願いすることに致しました。どうか、宜しくご理解のほど、お願い申し上げます。

2018 年 4 月吉日 

第22回酵母合同シンポジウム実行委員会 
委員長 原島 俊