この地球上には病気を治してくれると言われている不思議な水がある特 定地域に存在しています。例 えば、フランスのルルド地方で採水される湧水やメキシコのトラコテ地方で採取される水は飲用すると様々な病 気が治癒するといわれ、世界的にも有名です)。 ドイツのノルデナウ地方にある湧水も飲用することによって様々な病気が治ると言われている水があります。ま たメキシコのトラコテ地方で採取される水は、 種々の病気の症状を改善すると伝えられています。同様に日本にも複数の地域で病気が治ると言われている水が 伝えられています。私たちはこのような病気を治 すと言われている水そのものに通常の天然水と違った性質があるのではないかと考えております。そして、それ ら水について本当に効果があるのか、また本当に 効果がある場合なぜ効果があるのか科学的検証と解析を行っています。

還元力のあ る天然水

  これまでの研究から私たちが注目しているのは特定の水にみられる還元力にあります。これら特殊な水には 細胞内活性酸素を軽減させる作用があることが明らか となっています。私たちはこのような天然水を天然還元水と呼んでおります。私たちはこの細胞内活性酸素 を軽減させる力と病気を治す奇跡の水と関係している のではないかと考えました。

  つまり、これら体内に発生する過剰な活性酸素種産生を抑制する水を日常的に摂取することで、無理なく体 を若返らせ、健康を維持し、多くの病気を予防・改善することができるのではないかと考えました。

 

地下と水素

 還 元とは物質に電子または原子状水素を与える事をいいます。しかし天然水の場合水中に含まれる原子状水素 や電子はどこから、そしてどのように存在しているのでしょうか。

  まず、どこから来る可能性があるのかについて考えてみます。地球上に存在する水素含量は非常に低く大気 成分の水素量は0.00005%と極めて低いことが 知られています。対して、地下深くのマントルやマグマだまりでは実に様々な化学反応が生じ水素や硫化水 素、炭酸ガスといった生物に必須の物質が湧き出てい ると考えられています。実際に地下には水素から派生するエネルギーを利用したたくさんの土壌微生物が存 在しており地下5000メートルという深さにおいて も大量の生物の存在することが明らかとなっています。私たちはこれら地下由来の還元物質が何らかの形で 保持されることがあれば、地下水由来の天然水がその 水素及びその水素内包物質を我々に運んでくる可能性があると考えています

天然還元水 に関する研究紹介

天然還元水 中のミネラル成分

 次 にどのように存在しているかについてその可能性について考えてみます。還元物質はその反応性が高ければ 高いほど不安定で水の中ではすぐに壊れてしまいま す。私たちが生活している地上には酸素が有り、この酸素がすぐさま還元物質と反応してしまいます。その ため天然還元水中に含まれるであろう還元物質は少な くともある程度酸素には影響を受けない程度の安定さが必要になります。ここで我々は天然水に含まれるわ ずかなミネラル成分に注目しました。通常の天然水に おけるミネラル成分は水に溶けてイオン状で存在していますが、天然還元水はこれらミネラル成分が特殊な 状態で存在しているのではないかと考えています。そ してその特殊なミネラル成分が地下由来の水素原を安定な形で保つことを可能にし、私たちに様々な効能を 示すのではないかと考えています。

直接的?間 接的?

  水の中にある還元物質は悪い活性酸素を直接消すの?という疑問がよくいわれます。これら天然水中の物質 はそれ自体が還元性を示すのですが私たちの体の中に 到達できるものは非常に少ない量になると思われます。そのため水の中の還元物質は体の中の活性酸素が発 生している所に到達して直接消してくれるのではな く、細胞へ働きかけて細胞の抗酸化システムを活性化させることで体内の活性酸素を消去しているのだと考 えています。

天然還元水 の研究結果

 私 たちの研究分野ではがん細胞や肝臓、筋肉、脂肪の細胞というようないろいろな種類の細胞を保存していま す。これら細胞は株化して凍結保存しています。株化 とはその細胞を不死化させて死なないようにさせることで、細胞を使った実験は実際の動物やヒトに行う実 験に比べより単純化したモデルとして取り扱うことが できるためよく使用されており、私たちも動物実験と併せて培養細胞を用いて天然水の効果を調べていま す。以後は私たちが天然還元水の研究から得られた発見 のいくつかを紹介したいと思います。

日本におけ る天然還元水

大 分県日田市地方の天然水。

  日本における天然還元水として私たちが注目している天然水の一つに大分県日田市地方の地下水が有りま す。日田市中ノ島ではウナギの養殖がおこなわれてお り、井戸水を用いた養殖を行っていましたが、複数の井戸の内ある一つの井戸の水を使ったウナギだけが特別丈夫に太く育つという不思議な現象が起きていまし た。そこで従業員が持ち帰り自宅で飲み始めたところ、家族全員が健康になり病気などが治ったというのが この水の由来と言われています。私たちはこの天然水 について試験管、細胞及び動物レベルで検証を行っており、さらに現在ではこの活性本体についての解明を試みています。

 

三 重県奥香肌峡地方の天然水

  奥伊勢香肌峡の鍾乳洞窟から取水される天然水であり、カルシウムを110 mg/Lと多量に含んでいる硬水(硬度320 mg/L)であることが知られていますが、この水は硬水であるにも関わらず非常に飲みやすいことが知られています。この天然水を引用すると病気が治るとい う利用者の口コミからこの効果を検証したいとの依頼があり、研究を進めています。

 

ほ かにもいくつかの地域で天然還元水を採取し分析を行っていますが、日本にはまだたくさん奇跡の水と言わ れる天然水があります。機会があれば日本中の病気が治ると言われている天然水を採取し分析したいと考え ています。

細胞内の活 性酸素消去活性について

  このグラフは培養細胞に天然水を含む培地で培養した細胞の中の活性酸素量を測定した結果になります。図 に示すように白枠で囲ってある棒グラフではいずれの 天然水で培養した細胞でもその蛍光の強さ(細胞の中の活性酸素量を示します)に変わりは見られません が、無理やり細胞に過酸化水素を入れ込み酸化状態にし た場合(青グラフ)、対照である超純水や天然水A~Dは高い蛍光を示します。それらに対し天然還元水と している日田市地下水、香肌峡水、ルルドの水、ノル デナウの水とトラコテの水は低い細胞内の活性酸素量を示すことが確認されました(赤矢印)。私たちは他 の市販の天然水についても数多く測定してきましたが このような結果を示す天然水は一部しか見られず、病気を治す水や健康に良い水と言われている水の一つの 要因ではないかと期待しています。

糖尿病

 糖 尿病にはすい臓ランゲルハンス島のベータ細胞が免疫系細胞により攻撃された結果インスリンの分泌ができ なくなる1型糖尿病と肥満などに起因してインスリン 分泌障害と筋肉や脂肪細胞におけるインスリン応答性が低下する2型糖尿病があります。日本人の糖尿病の 約90%は2型糖尿病であるといわれています。いず れもその発症や悪化に活性酸素が深く関わっているとされ図2に示すような血液中の糖分が高い状態が続く と活性酸素発生が発生し、その活性酸素が酸化ストレ スを誘発し糖尿病を悪化させるという悪循環が生じてしまいます。2012年時点の全世界での糖尿病罹患 率は約8%であり、日本では5%となっておりその数 は年々増加しています。危険因子として肥満、喫煙や運動不足などがあり現代病とも言われています。

  2 型糖尿病では細胞のインスリン応答性が低下すると書きました。血液中の糖分が多くなるとインスリンが細胞に糖をたくさん吸収するように命令します。そして 細胞はその命令に応じて糖を吸収します。これがインスリン応答性です。しかし、糖尿病になると細胞がこ の命令をあまり聞けなくなってしまい、ずっと血中の 糖分が高いままになってしまいます。私たちこのインスリン応答性への影響についても検討しました。

  すると天然還元水で培養した細胞はインスリン刺激が無くても細胞への糖取り込みが促進されることがわか りました(右図白グラフ)。また、インスリンで細胞 を刺激させると糖取り込みのスピードが上昇したのですが天然還元水を処理するとさらにそのスピードが速 くなることが明らかとなったのです(ピンクのグラ フ)。

 

  なぜ天然還元水でこのような結果がえられたのでしょうか。試験したマウスたちの経過ごとの体重、餌消費 量と水消費量を比較してみました。右図をみると (a)、(b)と(c)それぞれ日田地下水とノルデナウの水を飲ませたマウスでは体重の減少、餌の摂取 量と飲水量が抑えられています。糖尿病を発症させて いないマウスはいずれの値も低いことから、病気になっている超純水のマウスと比較してより天然還元水を 飲ませると健常に近い状態が維持されるという事が言 えると思われます。つまり天然還元水を飲ませているマウスは糖尿病になりにくくなる可能性があるという 事です。

  私たちは実験動物でも試験を行っています。動物試験ではヒトの疾病予防や改善のための研究を行うために たくさんの疾病モデル動物が存在します。その一つに 糖尿病を発症するモデル動物があります。私たちはそのモデル動物を使って天然還元水がどのような影響をマウスに与えるかの試験を行っています。右の図はそ のモデル動物に天然還元水を飲用させた時における血糖値の結果を示しています。

  試験開始から4週間後ではどのマウスにおいても血糖値の上昇は見られませんが(白グラフ)8週間を過ぎ ると超純水と市販天然水Aを与えたマウスの血糖値は とても高くなっています(青グラフ)。しかし日田市地下水とノルデナウの水は赤矢印に示すように血糖値の上昇が抑えられているのがわかると思います。

 

 

活性酸素と は

  過剰な活性酸素種は癌、糖尿病、動脈硬化症、脳神経変性疾患(アルツハイマー症やパーキンソン病な ど)、アレルギー症などの極めて多くの疾患の原因あるい は増悪因子となることがわかっています。老化も活性酸素種によって引き起こされ、年をとるにつれて、生体内抗酸化物質が産生されなくなることが明らかと なっています。これら過剰の活性酸素を除くことができれば種々の疾病予防及び改善に寄与できると期待で きます。

糖尿病モデ ル実験

 私 たちの体は血液の中の糖量(血糖値)を一定の値に保つようにできており、主にホルモンがそれを担当して います。私たちの体は血糖値を上げてくれるホルモン は複数あるのですが、血糖値を下げてくれるホルモンはインスリンというホルモンだけしかありません。このインスリンはすい臓の中にある特別な細胞(ベータ 細胞)から放出されます。そのためこのベータ細胞がダメージを受けるとインスリンを分泌できなくなるた め血糖値のコントロールができなくなるため糖尿病に なる大きな要因となります。私たちは培養細胞をつかってベータ細胞が天然水によってどう影響を受けるか調べてみました。

天然還元水 と糖尿病

 

  私たちは特に糖尿病と還元水との関係に焦点を当てて研究しています。というのもいろいろな天然水の効果 を実験によって検証してきましたがその中でも比較的 再現性の高い結果が得られる実験が糖尿病に関する実験だったから、というのが実情です。実際に病気が治ったと言われる飲用者の報告に糖尿病関連の疾病の方 が多いのも関係があるのかもしれません。その結果の一つを紹介したいと思います。

  その結果が左の図になります。天然水で培養した細胞は何も処理していない条件ではその値に大きな変化は 見られませんでした(白いグラフ)。しかし酸化処理 を行う と細胞はダメージを受けて細胞の数が減少します(図4白グラフと青グラフを比較)。しかし日田市地下水やノルデナウの水で培養した細胞はその数が多く残っ ていることが明らかとなりました(赤矢印)。

 

 

  このように天然還元水には通常の天然水にはない疾病予防効果があることが期待できます。そのほかにも私 たちはガン、動脈硬化症、神経変性疾患、アレルギー 症などに疾病について検証を行っています。はじめに述べたようにこの天然還元水の効果をみなさんが疑いなく信じてもらえるようになるためにはその効果を検 証するだけでなく、なぜ効果があるのかを証明することにあると思います。私たちは現在この活性酸素を除 去する天然還元水の複雑な仕組みを一つ一つ解読して います。こ の紹介ホームページにも随時新しい情報をできるだけわかりやすく載せていく予定ですのでもし質問や疑問 などありましたら当講座までご連絡ください。

 

  私たちは天然還元水が健康に有益な水であり、酸化ストレス関連疾患を予防、抑制するということを立証 し、世界中の人たちが安心して飲用して健康になることを目指して研究を続けています。

 

 

参 考文献 

Shirahata, S.; Hamasaki, T.; Teruya, K.;Advanced research on the health benefit of reduced water. Trend. Food Sci. Tech. 23(2), 124-131, 2012

 

Li, YP.; Hamasaki, T.; Teruya, K.; et al. Suppressive effects of natural reduced waters on alloxan-induced apoptosis and type 1 diabetes mellitus.

64(3), 281-297, Cytotechnology, 2012

 

Gadek, Zbigniew; Hamasaki, Takeki; Shirahata, Sanetaka.; "Nordenau Phenomenon" - Application of Natural Reduced Water to Therapy Follow-Up Study upon 411 Diabetes Patients. Animal Cell Technology Basic & Applied 15,265-271, 2009

 

Li YP,; Nishimura T,; Teruya K,; et al. Protective mechanism of reduced water against alloxan-induced pancreatic β-cell damage: scavenging effect against reactive oxygen species. 40:139–149 Cytotechnology, 2002