有明海にだけ棲む魚

有明海といえば,「ムツゴロウ」,そんなことはありません.
この魚は日本では有明海にだけ生息するヤマノカミです.

ヤマノカミの名前の由来って???
山の神様・海の神様は,女神さまなので,すごく怒りっぽい!
そのせいで,洪水や津波などが起こると考えられてました.
その女神さまよりも「ブサイクな顔」をした生き物を神社に奉納していた,という言い伝えがあります.

「ブサイクな顔」をしているから,この魚は「山ノ神」と言われるようになりました.

この魚はちょっと珍しい生活史を送ります.
川で成長し,海で産卵する「降河回遊型」といわれる回遊スタイルを持ちます.
海で産まれた仔魚はしばらくの間有明海の沿岸域を漂った後,有明海に流入する河川に遡上します.
その後,夏と秋を川で過ごした後,再び海に下り,冬の寒い有明海で産卵します.

我々の調査により,有明海沿岸部の汀線際のカキ床でこの魚のまとまった産卵場が見つかりました.

有明海に流入する大半の河川には,潮止めのため河口堰が設置され,遡上を妨げられ,
生息域が狭まっており,この魚もまた希少な魚類のひとつです.

もっと詳しく知りたい方は,
Ichthyological. Research, 49: 198-201
魚類学雑誌,46: 31-37
Fisheries Science, 73: 735-737
SUISANZOSHOKU, 52: 375-379
をご覧ください。
(注)リンク先は、SpringerLinkJournal@rchiveWILEY Online Libraryです。

ハゼの卵を探せ!

最近では、河口域の生態系としての機能などを評価するために、
ハゼ類の生態調査を行っています.
特に注目しているのは産卵場!

河口域の礫底の石をひっくり返し、石に卵が付着しているか、
干潟のアナジャコの巣穴をスコップで掘り、穴の壁面に卵が付着しているか、
などを確認する作業です。
ハゼ類は河口域に定住している種が多いため、河口域の多様性を評価するのに優れています。
そして、幾つかの種は干潟の埋め立てなどが原因で著しく生息場を狭められる絶滅危惧種です。
健全な河口域環境を生物の視点から評価するために、
また希少な野生生物の保全策を講じる上で、このような生態調査は必要不可欠です。



もっと詳しく知りたい方は,
Ichthyological. Research, 56: 105-107
Biogeography, 10: 13-16
生物地理学会会報,64: 29-39
Fisheries Science, 76: 83-91

をご覧ください。
(注)リンク先は、SpringerLinkです。

美しい景観7
はす田(徳島)