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研究概要

 種々の食品成分は、栄養素として生命活動を維持するのに必要であるばかりでなく、私たちの健康に大きな影響を与えることが知られています。とくに生活習慣病は発症してからではその治癒は困難です。栄養化学分野では健康的な生活を送るうえで、どのような食事をすればよいかに関する基礎的な研究を行っています。とくに、代表的な生活習慣病として知られる動脈硬化症、心筋梗塞、脳梗塞、血栓症などの血管疾患をターゲットに、食事による疾患予防に関する基礎的研究が主要な柱となっています。



研究テーマ紹介


脂質代謝に及ぼす外因性および内因性酸化コレステロールの影響

 酸化コレステロールは食品中にも含まれ、さらに生体内でも生成される。酸化コレステロールは核内レセプターLXRのリガンドであり、生体調節能を有すると考えられている。 しかし、その分子種は多様で、分子それぞれの機能は明確ではない。この研究では、酸化コレステロールの新規機能の発見と分子種の同定を行う。(テーマ①)

肥満に及ぼす食品成分の影響

 肥満は生活習慣病の一因である。体脂肪蓄積に影響を及ぼす食品成分を探索する。(テーマ②)

ヒトの血清脂肪酸組成と病態との関係解析

 ヒト血清中に様々な分子種として脂肪酸が存在する。その脂肪酸組成と病態との関係は 明らかにされていない。この研究は脂肪酸代謝に関わる因子と病態との関係を追跡し、 新規なバイオマーカーを探索する。(テーマ③)

病態モデル動物を用いた新規高コレステロール血症発症機構に関する研究

 高コレステロール血症モデル動物である外因性高コレステロール血症(ExHC)ラットの 遺伝子解析により高コレステロール血症発症機能の解明を行う。(テーマ④)

エピジェネティクス系における食事の介入

 エピジェネティクスとは、塩基配列の変化を伴わず遺伝子発現の活性化および不活性化を 行う後生的修飾のことで、主に遺伝子上流域のDNAメチル化を中心に解析を進めている。個人の食情報履歴がこの場所に刷り込まれている可能性について探る。(テーマ⑤)

脂質代謝・動脈硬化に及ぼす食品成分の影響

 生活習慣病の代表的なものとして高脂血症、脂肪肝がある。食事成分による高脂血症・脂肪肝の予防および改善に関する研究を行う。動脈硬化モデル動物を用いて、動脈硬化症発症予防に寄与する食品成分の探索、また作用機序の解明を行う。(テーマ⑥)

脂質輸送に及ぼす食品成分の影響

 小腸で吸収された脂質はリンパへ放出され、胸管を経由して血液循環系に運ばれる。小腸からリンパ管への脂質輸送速度の低下は低インスリン時に血液中へ脂質を遅らせて輸送することとなり、インスリンによる脂肪組織への脂肪酸取り込みを遅らせるため、メタボリックシンドロームの予防・改善に繋がる。リンパ流量および脂質輸送に影響を与える食品成分を探索する。(テーマ⑦)

画期的米油原料用稲の育種・利用に向けた基盤的技術の開発

 米油増産に関わる育種素材開発に向けた有用資源の探索過程では、微量かつ多数のサンプルを対象に 成分や特性等を迅速に分析する必要がある。米一粒単位での脂質含量及び分布等の分析が可能となる微量・高感度分析法(ミクロアッセイシステム)の開発を行う。(テーマ⑧)