九州大学農学系教育・研究組織は、大学院教育組織の「大学院生物資源環境科学府」、研究組織(教員が所属)の「大学院農学研究院」、学部教育組織の「農学部」、以上で構成されています。
九州大学農学部は、生物生産、生物機能、生物環境等に関連する学問諸分野において、国際的に通用する専門性と技術を有するばかりでなく、豊かな課題探求能力とバランス感覚を備えた多様な人材の育成を行うため、生物資源環境学科のもと、4コース11分野の教育体制をとっています。これらの11分野は、生物系、化学系、数物系、社会科学系と多様であり、あたかもミニユニバーシティともいえる総合的な教育体制をとっています。学生を選抜する入学試験では、前期試験、小論文形式によって総合的に評価する後期試験、加えて作文・面接によって選抜するAO入試も実施し、多様な人材を求めています。入学に際しては、学部一括入学制度を取り入れ、コース・分野の選択は、農学全般が見渡せるようになる2年後期まで猶予し、自己の適性を多くの判断材料のもとでじっくり考えられるような体制を整えています。また、文部科学省国際化拠点事業(グローバル30)の取組みの一つとして、平成22年10月からは4コースとは別に、英語による授業等により学位取得可能な教育課程である「生物資源環境学科国際コース」を開設しています。さらに文部科学省グローバル人材育成推進事業の取組みでは、留学生との授業共有や、海外の大学での短期集中授業への参加などを通して、国際的視野を持ったリーダー人材育成を行っています。以上のように、段階的進級制度(段階的に専門性を高めていく)と4年間の体系的カリキュラム編成、人材育成プログラムなどを通して、農学(生物生産、生物機能、生物環境)に対する総合的な知識、国際性・専門性・社会性・人間性を備えた人材養成を目指しています。
九州大学大学院生物資源環境科学府は、今日の知識基盤社会を支える高度な教養人教育をベースとして、資源生物学、環境農学、農業資源経済学、生命機能科学、生物産業創成に関する高い専門性を有するとともに、課題探究・解決能力および戦略的企画能力を有した研究者の養成並びにバランス感覚に優れ、柔軟な思考力を有する高度専門職業人の育成を行っています。また、博士後期課程では、さらに専門性と国際性を高度化して、豊かな人間性と創造性を有する秀でた研究者を養成するとともに、次世代の生物資源環境科学を開拓して指導的役割を果たす大学教員などの教育従事者の養成を目指しています。この教育理念を体現するため、5専攻を設けており、各専攻にはそれぞれ教育コースが置かれています。学生の選考においては、研究者としての資質に富み、多様な能力を有する人材を集めるため、選抜方法に工夫をこらしています。また、社会人入学の推進、優秀な留学生の確保にも取り組んでおり、特に、優秀な留学生の拡大では、英語で授業を行う「国際開発研究特別コース」の拡大・充実に努めています。
九州大学大学院農学研究院では、「生命、水、土、森、そして地球から学び得た英知を結集し、人類の財産として次世代へ伝え、人類と地球環境の豊かな共存を目指して、進化する農学を実現する」ことをミッションとし、生物資源・環境に関する教育研究、国際協力、社会連携を通して、食料・生活資材の安定供給、生物生存環境の保全及び人類の健康と福祉に貢献することを目指しています。そのために、1)生命科学研究の急速な発展を背景に、生物機能の解明・利用・創製を目指した新農学生命科学領域、2)地球規模での環境保全の立場から、生物多様性に配慮した環境調和型・物質循環型の持続的な生物生産・農村空間システムを構築する環境科学領域、3)中長期的な食料生産力の増大を目指す観点から、アジアモンスーン地域における潜在的食料生産力に着目し、生物資源、生物利用、環境保全、農村開発を含む国際アグリフードシステムの研究、4)食の安全・安心に対する社会的ニーズを踏まえて、食料の機能性・安全性に関する研究、信頼できる食料供給システムの構築を推進する研究、以上を研究の4本柱とし、大学院農学研究院に資源生物学、環境農学、農業資源経済学、生命機能科学の4部門を置き、部門にはそれぞれ講座を、講座のもとに研究分野を配置し、上記の目標達成のための「教育」、「研究」活動のほか、「社会貢献」、「国際貢献」にも積極的に取り組んでいます。
21世紀の人類的課題である地球規模での食料問題と環境問題を克服し、食料・生活資材の安定供給、生物生存環境の保全、人類の健康と福祉に貢献するため、九州大学大学院農学研究院、大学院生物資源環境科学府、農学部は日々、進化を続けています。