平成22年度食品開発学特論

 

■12月9日(木)4限目 (14:50-16:20) 防音103教室

金田 弘挙 氏

サッポロホールディングス株式会社 経営戦略部 研究戦略
グループ グループリーダー

(兼務:食品開発インキュベーションセンター センター長)


「ビールの研究開発における創造性 -ビールのおいしさを求めて-」

本講義では、まず、ビールの定義、製造方法、消費動向などが紹介された。ビール研究分野では,ビール学会が世界中に存在し、又、ビール学科も海外の大学には有り、研究が推進されており、この中で,世界の研究者と交流し、研究が展開されていることも紹介された。又、これまでのビール研究は、醸造技術、泡持ち、香気、苦み、微生物問題など研究者視点であったことが示された。実際に講師が取り組んだビールの老化現象について、その機構解明のため新技術を活用して行った大学との共同研究の内容が解説され、この成果をもとに抗酸化製法によるビール製造法が開発され、ビールの老化が抑制されるようになったと説明された。さらにビールのおいしさの研究について消費者の視点で行われた「こく、きれ、のどごし」の評価のための研究では独自にセンサーを開発して測定できるようになり、これによって客観的評価が可能となり、これが,マーケッティングにも活かされたと紹介された。さらに,脳科学研究から,ビールの持つ香りの効果が紹介され、ビールのおいしさ研究の奥深さが語られた。本講義の内容は、企業に限らず食品の研究開発では、自分の基礎知識の充実も重要であるが、異分野の研究視点から見ることで,新たなアイデアも生まれ、これが研究のオリジナリティーを高めるのに役立つこと、食品科学は総合科学であり、人文科学の研究者との連携が今後重要になることを示すなど、教育効果の非常に高いものであった。


講義風景

     

     

 

講義資料

 

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