平成22年度食品開発学特論

 

■12月17日(金)4限目 (14:50-16:20) 4号館110教室

半谷 いづみ 氏

大塚製薬株式会社 生産本部 製品技術第一研究所 所長


「大塚のチャレンジするものづくり」

本講義では大塚製薬におけるモノづくり(研究開発製剤化)に対する姿勢について紹介された。はじめに、親会社である大塚ホールディングズ株式会社の事業紹介と企業風土について簡単な解説が行なわれた。昨年度の海外での売上げ率が約45%に達したこと、またドーパミン作動性ニューロンに作用する非定形向精神薬(商品名:エビリファイ)が世界70カ国で発売されていることなど、企業戦略のグローバル化を積極的に進めている現状も紹介された。次に、製品技術第一研究所で商品設計・開発したポカリスエット、SOYJOY、SOYSH、アミノバリューなどを参照に、商品設計・開発・製造における研究開発者の創造性とチャレンジ精神、忍耐力の重要性を熱心に語られた。ポカリスエットのペットボトル化の際には環境に配慮した軽量かつ丈夫なペットボトルを如何に作り上げたか、また、大豆製品であるSOYSHの開発ではタンパク質の酸沈殿をどのように克服したのかなど、これまでの常識では困難とされてきた多くの問題をユニークなアイデアで解決してきた経緯を分かりやすく解説された。これらの話題をまとめて最後に、半谷氏が考えている「研究者の志」ついて受講生へのメッセージが伝えられた。

 本講義の重要な内容は、大塚製薬だけではなく、他の多くの企業で働く技術開発者に共通して求められる「研究姿勢」であり、本学府大学院生が今後、研究・ 開発・製造の場面で発揮する様々な創造性ついて考えさせるなど、極めて高い教育効果があった。「顧客のニーズにこたえて従来製品を開発するのではなく、全く新しい価値を生み出すこと、ニーズを生み出すこと」という半谷氏の研究姿勢は、受講生に新鮮に受け止められたと期待される。


講義風景

     

     

 

講義資料 (pdf)

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