平成22年度食品開発学特論

 

■2月4日(金)4限目 (14:50-16:20) 4号館110教室

福田 昌孝 氏

花王(株)品質保証本部 技術法務センター アセアン担当部長

「花王株式会社 アセアン地区マネジメント」

 本講義では、まず、「花王」が,一般消費者向け、企業向けに製造販売している化粧品、食品、洗剤、添加剤、香料などの商品群が紹介された。ついで、花王の歴史と歴史に沿った商品の紹介が行われた。花王のものづくりは、研究開発だけでなく、マーケッティング、生産、物流、販売の全ての企業活動において意識されていることなど、企業理念についての説明が行われた。どの企業でも同じであるが、実際の就職活動において,この企業理念を正しく理解していないと「なぜ、この企業に就職したいのか」と言った問には答えられないことから、企業への就職を考えている学生にとっては「企業理念」の意味とこれを正しく理解することの重要性を再認識させる良い機会となった。
さらに収益の約半分は「Beauty Care製品」が占めており,市場としては国内が最も大きいが、現在経済発展のめざましい東南アジアでは、スキンケアの市場規模が年々、増加してきており,今後大きなマーケットとして有望である。ところが、以前とは異なり、ASEAN経済共同体として、市場が形成されており,この市場における規制もASEANの統一規制で、香粧品に付いての規制は,ASEAN以前は緩かったがASEAN経済共同体となってからは、EUと同程度に厳しい内容になってきたことが紹介された.ASEAN向けのスキンケア商品開発では、生活習慣の違いから,日本と同じコンセプトで作った商品は売れず、現地で好まれるレシピでの製造と提案が重要であることが示された。実際、シャンプーなどは、洗髪後、髪の毛がギシギシする方が良く汚れが落ちてきれいであるイメージなので、コンディショナーは売れないことが話された。このように,とにかく現地での商品開発と現地での消費者により評価の繰り返しが必要で,実際にこれを行うことで、ASEAN向けとして現地で開発した洗濯用洗剤により、洗剤の販売が3倍に伸びた例が示された。

  本講義の内容は、発展のめざましい地域であるため、今後も、ASEANの法規制や技術規制を正しく理解し、これをクリアした現地のニーズに合った製品開発では,スピードが最も重要であることを食品及び化粧品記号を志望する学生に理解させる教育効果の高い講義であった。


講義風景     

     

          

     

講義資料

 

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