Genome Chemistry & Engineering Laboratory

研究内容

植物における核と細胞質の相互作用に関する研究

　植物には様々な細胞内小器官（オルガネラ）が存在しますが、その中でも葉緑体、ミトコンドリアに注目しています。葉緑体は、正式名をプラスチド（やわらかい、可塑性、を意味する）といい、葉では緑色の葉緑体、根ではでんぷんを貯めるアミロプラスト（じゃがいもの主成分）など、様々な形に変化します。ミトコンドリアは呼吸を行う器官ですが、最近、様々な細胞応答に関わることが明らかになってきました。

　葉緑体やミトコンドリアは原核生物が異なる細胞に取り込まれる「細胞内共生」と呼ばれる現象によって誕生しました。葉緑体やミトコンドリアにはまだ独自のゲノムが残されています。しかし、細胞内共生のイベントのさいに、オルガネラの遺伝情報のほとんどは核ゲノムに吸収されてしまい、数千種類の核ゲノムにコードされる遺伝子産物がオルガネラの中に運ばれてオルガネラの機能が保たれています。植物では、由来の異なる3種の違う区画に収納された遺伝情報が協調的に発現することで、生命が維持されています。このメカニズムの解析を進めています。