媒介感染症の状況 (2025年8月15日 更新)
こちらの情報は、WHOや農林水産省、各種文献などの情報を整理して解説しているものです。
ランピースキン病
ランピースキン病は牛痘や天然痘の仲間であるポックスウイルスの一種 (Lampy skin disease virus: LSD virus) が引き起こす感染症で、2019年以降、アジア各国で猛烈な勢いで感染が拡大しています。ランピースキン病は吸血性のハエの一種であるサシバエによって媒介されます。サシバエは牛床や堆肥置き場で発生するハエで、5月〜12月に成虫がみられます。特に、晩秋にかけて発生の大きなピークを示し、一部個体は200km以上の長距離移動を行います。
LSD virusの特徴のひとつとして、高い環境安定性が挙げられます。多くのウイルスは感染動物の体外にでると、乾燥や紫外線などによりすぐに失活しますが、LSD virusは安定性が高いため、ウイルスと接触したサシバエにより伝搬されやすいという性質があります。そのため、感染拡大防止のためにはサシバエの発生を抑制すること、サシバエ成虫が牛舎に入らないようにすること、そしてランピースキン病発生農場からサシバエを拡散させないようにすることが大事です。
国内では2024年末に福岡県で初の発生が確認されています。一冬を超えて感染拡大は沈静化していますが、海外での発生状況を考慮すると、今後も九州・西日本を中心にアウトブレイクが続くことが懸念されます。
牛伝染性リンパ腫
別名、牛白血病ともいわれ、牛の血球細胞に感染する病気です。感染しても最初は潜伏感染となり、症状などは現れません。しかし、なんらかのきっかけで発症すると、重症化して死亡に至ります。感染した牛の血球細胞、あるいは発症牛の血液が別の牛の血液に混じることで感染が広がりますが、その主要なベクターはサシバエです。
潜伏感染をするため、遺伝子検査以外では感染を確認することが難しいこともあり、感染が広がりやすいものとなっています。発生件数は2000年以降、増加に一途を辿っており、感染を防ぐことが困難な状況になっています。ウイルスの感染率は地域によって差はあるものの、30~50%と非常に高く、またその多くは未発症牛であるため患畜の淘汰は難しく、被害低減のためにはベクターであるサシバエの防除を行う必要があります。