はじめに

研究内容

研究成果

メンバー

プロトコール
   蛍光変換蛋白質のバルク変換
   BY-2 細胞の形質転換

植物細胞(写真館)

タバコBY-2細胞

実験室写真館

役に立つリンク





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タバコ培養細胞BY-2株とは

 BY-2細胞は、葉タバコの品種であるブライトイエロー2号のから誘導された細胞系です。この細胞株は、1968年に日本専売公社(現 日本たばこ産業株式会社)秦野たばこ試験場において、川島信麿博士により誘導されまし た。BY-2細胞は、1970年代初頭にタバコ細胞からのユビキノン(Coenzyme Q10)の生産系の報告で、学会デビューを果たしました。この細胞株の増殖の早さに、長田敏行先生は注目され、世界中にその良さと細胞の配布を行われました。また、名古屋大学に長田先生が在職された時点に、現在Pohang大学にいらっしゃるG.An博士が、名古屋大学においてこの細胞株がアグロバクテリウムにより効率良く形質転換できることを見出しました。この細胞系は、細胞質分裂、細胞周期、タンパク質輸送等の研究のために、世界中の研究室で多くの基礎研究のために現在も使われ続けています。
 また、植物の培養細胞としては唯一、有名な教科書であるMolecular Biology of the Cellに取り上げられている細胞株であり、このことからもBY-2株は植物細胞のモデルとして世界で広く認められていることがわかります。


 BY-2細胞の特徴として、まず、倍加時間が12-13時間程度と植物培養細胞では最も早いこと、これに伴い一週間の培養で細胞が60-100倍に増えることがあげられます。また、培養条件を選ぶと、増殖能を殆ど損なわない条件で、細胞分裂が細胞の長軸と90度の角度で分裂を続けさせることが出来、その結果8-16個程度の細胞が縦に繋がった状態で培養することも可能です。この細胞は、アグロバクテリウムを用いて、形質転換が簡単なプロトコールにより容易に行え、至適条件では、9cmのシャーレ1枚を用いた共存培養から、数万個の独立した形質転換体を得ることが出来ます。以前にはこの細胞の染色体数は、栽培タバコ(Nicotiana tabacum)と同じ言われていましたが、最近の解析では染色体の一部が欠落しているとの報告もあります。一方、そのプラスチドゲノムの塩基配列は、世界で始めて葉緑体ゲノムを決めるのに用いられた、姉妹品種であり、今なお実用品種である、ブライトイエロー4号の配列と完全に一致しているそうです。


 なお、本研究グループの松岡が理化学研究所植物科学研究センターに在籍していた際に、この細胞株のEST解析とマイクロアレイ解析からなるトランスクリプトーム情報の所得を行っており、その結果は公共データベースに登録すると共に、研究論文として順次発表しております。また、理化学研究所バイオリソースセンター実験植物開発室から、この細胞株と、上記ESTの配布が行われています。さらに、実験植物開発室では、この細胞の凍結保存技術を開発しています。