甘露を求める -虫の出す甘い匂い-
甘露を分泌するカイガラムシの仲間
庭木や生垣には様々な害虫がつきます。アブラムシやカイガラムシといった昆虫が発生することもよくありますが、それらの昆虫類はお尻の先から甘露と呼ばれる糖分を多く含んだ排泄物を出します。
甘露は様々な昆虫の重要な餌源となります。そして甘露を通して虫たちが繋がります。有名なところでは、アブラムシとアリの関係があります。
アブラムシが甘露をアリに与え、その代わりアリが捕食者からアブラムシを守るというもので、このような関係を相利共生と言います(実際にはもっと複雑な関係であることも多いです)。
アリのようにアブラムシを守るようなことは決してありませんが、甘露が欲しくて甘い匂いに誘引され、様々な昆虫が集まってきます。その代表的な昆虫にハチの仲間が含まれていて、各種の寄生バチ、カリバチ、アシナガバチ、スズメバチたちが甘露を舐めに庭木にやってくるのです。
甘露は葉の上側に付着していることが多いので、集まってきたスズメバチが葉の表面を盛んに舐めている様子を観察できます。
甘露に集まるスズメバチ
このように単独活動中は人を刺したりしません。
公園のコナラ葉上のコガタスズメバチ
葉にアブラムシが出した甘露がこびり付いていて、それを舐めにやってきた。
コナラに飛来したキイロスズメバチ
葉の上に付いたアブラムシの甘露を求めてやって来た。
キイロスズメバチの女王蜂
ウメの木に無数のカイガラムシが発生していて、その甘露を求めてやって来た。
ツマグロスズメバチ(石垣市にて)
キジラミ(セミやウンカの仲間)の甘露に引かれて飛来。テリハボクの木にはツマグロスズメバチがよく来集する。
シャリンバイ上のコガタスズメバチ
街路樹のシャリンバイにたくさんのキジラミが発生しており、そのキジラミが出した甘露に飛来。花の蜜を吸っているのではありません。