輸入飼料への依存は環境汚染にもつながっています。令和5年度の肉用牛における排せつ物発生量は2,480万トンにものぼり、そのうちの約70%が輸入飼料由来であると考えると、毎年約1,700万トンの糞尿が海外から持ち込まれている計算になります。
この輸入飼料由来の糞尿すべてを海外の土地に還元することは現実的に不可能であり、実際には国内の土壌に蓄積されており、国内土壌の富栄養化による環境問題が危惧されています。
輸入飼料の輸送は環境負荷が大きい?
牛肉1kgを生産するためには、輸入飼料(トウモロコシなど)が約11kgも必要となります。つまり、牛1頭(約7~800kg)を育て上げるには膨大な量の穀物飼料を輸入する必要があるため、飼料を輸送するための燃料消費による二酸化炭素の排出も環境に大きな負荷をかけています。
日本の畜産における温室効果ガスの排出は、牛自体から排出されるだけでなく、実は輸入飼料の輸送などによる環境負荷も大きいです。
持続可能な畜産に向けて
上記のような問題を解決するためには国内自給および資源循環が可能である持続可能な畜産を目指していく必要があります。そこで我々が着目したのが放牧を活用した牛肉生産です。
放牧によって牛は草地に生えている牧草を食べ、排出される糞尿が草地の土壌へ還元され、牧草の生育へとつながっていきます。このように放牧を行うことで国内資源の循環が可能となり、持続可能な畜産を行うことが可能となります。