九州大学大学院農学研究院
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国際農業教育・研究推進機構の設置
東南アジア新興国では、急速な人口増加と経済発展により、水質劣化や土壌劣化など農林水産業の生産基盤に係る環境問題が深刻化している。また、気候変動・地球温暖化に伴う海水面上昇や降水量の変化も安定した生産を脅かす深刻な問題となっている。世界では貧困撲滅や食料安全保障の観点から、食糧の増産が急務とされているものの、事態は深刻化しているのが実情である。同時に生物多様性の喪失が深刻な問題となっている。また、食糧増産を目指した多収量品種の導入の拡大により、作物や家畜の遺伝的多様性が喪失されつつあることも大きな問題となって浮上している。したがって、世界では、生物生産拡大と環境保全・生物多様性保全の両立をはかることが急務となっている。しかしながら、多くの開発途上国の科学技術はこの課題の解決を達成する水準にはなく、わが国を含む先進国の支援が急務となっている。日本が戦後,経験してきた農村地域での生産基盤の機能劣化を,東南アジア新興国では気候変動・地球温暖化の影響も相俟って,近年,より深刻な水土環境の悪化を伴って急速に経験しつつある.高い生産性を維持しつつ,生産基盤の水土環境の保全を図ることが喫緊の課題であることから、農学研究院がこれまでに累積してきた研究実績をもとに、海外大学との本格的連携によるグローバル研究を強化させ、その中心的役割を国際農業教育・研究推進機構が担う。