フコイダンとは海藻のヌメリ成分

子どもの頃、磯辺で遊んでいて、海藻に足をすべらせたことはないでしょうか?モズクやワカメ、コンブなどの海藻類(褐藻類)は表面がぬるぬるとした成分で覆われています。この成分の中に多く含まれている硫酸化多糖類が「フコイダン」です。もう少し学術的にいえば、フコースとよばれる糖に硫酸基が結合し、数多く連結した物がフコイダンと総称されます。

基本骨格は次のようになります。

フコイダンの基本構造

フコイダンの構造は抽出する海藻の種類によって異なります。私たちが基礎研究の対象にしているのは、トンガ王国産のモズクから抽出したフコイダンです。なぜモズクなのかといえば、ワカメや昆布に比べ、約5~8倍のフコイダンが含まれているからです。

海のきれいなトンガで育ったモズクから有機酸でフコイダンを抽出し、脱塩します。その後、特殊な酵素で消化し、20~80万あった分子量を500以下へと低分子化します。

解明されているフコイダンの機能

フコイダンは抗がん作用だけでなく、多彩な機能を持っています。総合的に見て私たちの健康に大変良い食品成分であると考えられます。明らかになっているフコイダンの機能を以下にまとめました。

[ 抗腫瘍・抗がん作用 ]

  1. 1)免疫増強作用
    • マクロファージ活性化
    • IL-12生産誘導
    • NK細胞活性化
  2. 2)アポトーシス
    • 正常リンパ球には毒性を示さない
    • がん細胞には濃度依存的にアポトーシス誘導
  3. 3)血管新生抑制
    • VEGFのレセプター結合抑制
    • VEGFの発現、分泌抑制
  4. 4)転移・浸潤抑制
    • MMP-2、-9発現、分泌、活性化抑制
  5. 5)がん細胞接着抑制
    • 糖鎖接着阻害作用(スルファチドーセクレチン結合阻害活性)
  6. 6)マウスでのがん増殖阻害・延命効果
    • マクロファージ活性化

[ 抗ピロリ菌・抗潰瘍作用・胃不快感改善作用 ]

  • 硫酸基がピロリ菌を捕獲
  • 粘膜保護
  • 抗ピロリ菌、粘膜保護、抗炎症

[ 抗アレルギー作用・抗炎症作用 ]

  1. 1)Th1/Th2 比調節
    • Th2 抑制(IL-2、-3、-5抑制)、粘液産生細胞抑制、好酸球減少
    • IL-4・ヒスタミン遊離抑制
  2. 2)炎症細胞抑制
    • アトピー性皮膚炎モデルマウス症状改善

[ 肝機能向上作用 ]HGF産生増強

  • GTP、GOT、γ-GTP値改善

[ 抗生活習慣病 ]

  • 血中コレステロール値・中性脂肪値・血糖値の改善・抗肥満

[ 抗糖尿病作用 ]

  • 筋肉細胞への糖取り込み促進
  • 糖尿病モデルマウスでの血糖値上昇抑制

[ 抗ウイルス作用 ]

  • HTLV-1感染細胞にアポトーシス誘導、中和抗体価上昇

[ 抗菌作用 ]

  • 食中毒菌増殖抑制(サルモネラ)

[ 抗酸化作用 ]抗加齢

  • 活性酸素消去

[ 血液凝固阻止作用 ]抗動脈硬化症

  • 血液をさらさらにする

[ 美肌作用 ]保湿、しわ、しみ、くすみ

  • シワ抑制、コラーゲン分解抑制、抗酸化作用
  • ヒアルロン酸分解抑制、ヒアルロン酸合成促進
  • 皮膚の保水性、弾力性維持、創傷治癒促進
  • 吸湿性・保水性向上
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