九州大学大学院 システム生物学 細胞制御工学研究室

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〒819-0395 福岡市西区元岡744
 九州大学大学院 農学研究院 生命機能科学部門 システム生物工学講座 細胞制御工学分野
   教授 片倉 喜範 (KATAKURA, Yoshinori) E-mail:katakura★grt.kyushu-u.ac.jp
   助教 照屋 輝一郎 (TERUYA, Kiichiro) E-mail:kteruya★grt.kyushu-u.ac.jp
     ※メールアドレスの★を@に変更してください

 

細胞制御工学教室 トピックス つづき

白畑教授がカロリンスカ研究所でセミナーを開催

 白畑教授が2014年4月28日から5月8日までカロリンスカ研究所に滞在し、セミナーを行うとともに、共同研究の打ち合わせを行いました。4月29日にSandra Ceccatelli教授(神経科学科長)の主宰で第5回目となるセミナーが実施されました。セミナーには環境医学研究所のBoris Zhibotovsky教授が大変お忙しいスケジュールの中でわざわざ会議の時間を変更してセミナーに参加して下さいました。また、当研究室の還元水研究に当初から注目されているSten Orreniusu名誉教授(前カロリンスカ研究所医学部長、前環境医学研究所長)をはじめ、多くの教授や研究員の方が参加して下さいました。セミナーでは活性酸素種に対抗する「活性水素種」という新しい学術用語を提唱しました。水素分子、水素原子ともに細胞内のレドックス調節因子として機能し細胞に酸化ストレス耐性を賦与したり、ガン細胞にアポトーシスを誘導することが分かってきました。カロリンスカ研究所では創立200周年を記念して世界中から莫大な寄附金が寄せられており、新しいカロリンスカ病院を建築中でした。また、ノーベル賞受賞講演を行うための立派な新しい建物ができていました(写真)。入り口のところには古い書物から脳が飛び出してくる3次元ホログラフィー展示物がありました。(写真)
 Ceccatelli教授の研究室、(株)日本トリム及び当研究室との共同研究で、電解水素水(電解還元水)を飲用させたマウスではリポ多糖(LPS)投与により引き起こされる脳の炎症が抑制されることを明らかにした論文を2012年に発表し、九州大学で共同記者説明会を実施しました。その後、電解水素水を投与したマウスの平均寿命がカロリー制限をしたマウスと同様に大幅に延長することが明らかになり、現在、記憶、運動能力、睡眠リズムなど詳細な脳機能に及ぼす電解水素水の効果について解析が進められています。カロリー制限をすると確かに寿命は延びますが、個体は生命を維持するだけが精一杯のエネルギーの低い状態におかれます。電解水素水を飲用することにより、カロリー制限をすることなしに、寿命が延長するのであれば大変好都合ではないかと思います。
 セミナー終了後、Zhibotovsky教授とOrrenius教授は筆者を王立公園内のレストランでの昼食に招待して下さり、研究の進捗状況について詳しく聞いて下さいました。また、Ceccatelli教授の自宅に招待され、腎臓内科の医師であるご主人といっしょに夕食をともにしながら、様々な科学上のトッピクスについて議論しました。
 今回は比較的余裕のあるスケジュールでしたので、毎月開催されるカロリンスカセミナーにも参加することができました。カロリンスカセミナーはカロリンスカ研究所所属のスタッフが一流学術雑誌に掲載した論文を紹介するセミナーです。講演はノーベル生理学・医学賞の受賞候補者を選考する委員会が開催されるNobel Forum(写真)の建物でありました。開演前にサンドイッチや飲み物が配られ、その後講演が始まりました。やもりの足を切断すると、再び足が再生されてきますが、その時に、切断部位の分化した細胞が全能性を持つ幹細胞に変化し、足が再生されるという仮説を証明した論文が紹介され、興味深く拝聴しました。
 カロリンスカ研究所滞在中にドイツのケルンを訪問し、医師として働いておられるZbigniew Gadek博士と研究論文のとりまとめに関する打ち合わせを行いました。Gadek博士はドイツの奇跡の水と言われているノルデナウ水について永年臨床研究をされました。ノルデナウ水は1992年1月に様々な疾病に対する改善効果が確認され、現在でも多数の方が毎日訪問し、スレーター鉱山の洞窟に湧き出る水を飲んでいます。Gadek博士は412人の糖尿病患者について、訪問時及び帰宅時に血液検査と診察を行い、約1週間で血糖値、HbA1c値などが有意に低下することを明らかにされました。ノルデナウ水のオーナーであるホテルトメスのオーナーであったテオ・トメス氏は残念ながら、がんで亡くなり、現在は息子さんがホテルを経営されています。 (文責:白畑)

(2014年7月24日木曜日)

白畑教授がカロリンスカ研究所において第5回目のセミナーを開催します。

 当研究室が長年にわたり推進している電解水素還元水及び天然還元水に関する研究の進展にスウェーデン国ストックホルム市にあるカロリンスカ研究所の研究者は注目しているようです。白畑教授は2007年、2009年(スウェーデン生理学会後援)、2011年、2013年の招待セミナーに続いて、2014年4月29日に第5回目となるセミナーをカロリンスカ研究所神経科学科において行う予定です。セミナーの主宰者はカロリンスカ研究所神経科学科長のサンドラ・セカテリ教授です。
 セミナーのタイトルは”Molecular mechanism of action of reactive hydrogen species and Pt nanoparticles to regulate the redox state of animal cells (動物細胞のレドックス状態を制御する活性水素種及びPtナノ粒子の分子作用機構)です。講演内容は以下のとおりです。  水は植物の光合成過程で酸素を空気中に放出します。私たちは水の中にあった酸素を吸って生きています。酸素はミトコンドリアの酸化的リン酸化の過程で大量の活性酸素種(ROS)を生成します。ROSは少量の場合は細胞機能の調節を行う分子シグナル因子として作用しますが、大量に存在した場合は細胞に致命的な障害を与えます。様々な疾患や老化にROSが関与していることが明らかになっています。
 一方、水は電気分解により容易に水素原子及び水素分子を発生させます。水素分子は腸内細菌が大量に作るため、人体の血中には酸素、炭酸ガスについで水素は多く含まれます(不活性な窒素ガスは考慮していません)。水素分子の生理機能についてはこれまでほとんど注目されていませんでした。最近の当研究室の研究で、水素分子はNrf2という転写因子を介してSOD、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、ヘムオキシゲナーゼ-1などの抗酸化酵素群の遺伝子発現を亢進することで細胞内の過酸化水素量を減少させることが明らかになりました。また、白金(Pt)ナノ粒子はそれ自身がSOD様活性、カタラーゼ様活性、ヒドロキシルラジカル消去活性を持つ多機能抗酸化物質であることを明らかにしましたが、最近の研究で極めて微量でNrf2転写因子を誘導し、抗酸化酵素群の遺伝子発現を増強することにより、細胞内のROS量を減少させるシグナル因子としての機能を持つことが分かりました。
 水素分子とPtナノ粒子が共存すると、化学平衡によりPtナノ粒子の表面に常に水素原子が存在する状態が生み出されます。このことは電子スピン共鳴装置(ESR)により水素原子が定常的に検出できることで証明されています。Ptナノ粒子は水の中に均一に分散していますので、水素分子とPtナノ粒子を含む水は水素原子を含む水であるということができます。Ptナノ粒子をあらかじめガン細胞に取り込ませた後、水素分子を作用させると、細胞表面または細胞内で局所的に水素原子を発生させることができます。
 水素分子またはPtナノ粒子単独ではガン細胞の増殖を抑制しませんが、両者が共存した場合には強力にガン細胞の増殖を抑制するとともに、アポトーシスを誘導します。この水素原子によるアポトーシス誘導はデスシグナルレセプターを介したアポトーシス誘導経路、ミトコンドリア及び小胞体ストレスを介してアポトーシス経路を介して起こることが明らかになりました。水素原子も細胞外または細胞内シグナル因子として作用する可能性があります。
 当研究室では活性水素種(reactive hydrogen species, RHS)という新たな言葉を提唱しています。一酸化窒素NOを含むROSは細胞の増殖、分化機能、老化、突然変異、ガン化、細胞死を制御する因子であることが知られています。活性水素種(H•、H2)もまたROSに対抗して、細胞に酸化ストレス耐性を賦与する重要なシグナル因子である可能性があります。日本で開発され、普及している電解還元水(電解水素水、水素水、アルカリイオン水など様々な名称で呼ばれています)は薬事法で認められている胃腸症状の改善効果だけでなく、様々な酸化ストレス関連疾患に効果を示すことが期待されています。電解還元水は大量の水素分子及び微量の白金ナノ粒子その他の還元性ミネラルナノ粒子を含んでいます。
 当研究室では以下のような活性水素ミネラルナノ粒子還元水説を提唱しています。水は水素原子の還元エネルギーを貯蔵した第一の貯蔵物質であり、外部環境の微弱な還元エネルギーにより容易に水素原子を発生させ、細胞に対して還元作用を発揮します。水素原子は不安定であるため、第二の水素エネルギー貯蔵物質として水素分子があると考えられます。しかし、水素分子は揮発しやすく作用の持続性に欠けるため、第三の貯蔵物質として還元ミネラルナノ粒子があります。飲料水の中には様々なミネラルイオンがありますが、水の電解の際にミネラルイオンは電子を受け取ってミネラルナノ粒子あるいは水素原子を貯蔵したミネラルナノ粒子水素化物になります。ミネラルナノ粒子はそれ自身で酵素的な触媒作用を持ちますが、やがて、電子、水素原子や水素分子の形で周囲に還元エネルギーを放出した後、ミネラルイオンに戻ります。電解前の原水にはもともと安全な量のミネラルイオンしかありませんので、電解還元水は還元エネルギーを徐々に放出した後に、安全なミネラルイオンを含む元の水に戻ると考えられます。電解還元水は副作用のない還元エネルギーのみを主として貯蔵及び放出する水であると言えると思います。
 電解還元水及び天然還元水は無理なく様々な酸化ストレス関連疾患の予防及び改善効果、さらにはアンチエイジング効果を示す水であることがたくさんの論文から明らかになりつつあります。日常的に飲用できる還元水は還元エネルギーを放出することで無理なく体を若返らせ、酸化ストレス関連疾患の予防や改善に役立つ医療補助水あるいは健康水としての機能が期待されます。

(2014年4月15日火曜日)

当研究室とカロリンスカ研究所及び(株)日本トリムとの電解水素水に関する共同研究が進んでいます。

 脳は酸化ストレスを受けやすい臓器ですが、脳-血液関門により外部から投与した抗酸化物質が排除されて脳に到達しないため、抗酸化治療が極めて難しい臓器です。カロリンスカ研究所神経毒性学研究室では水俣病の有機水銀による胎児の脳障害や環境中の化学物質による胎児への健康障害に関する研究をしています。同研究所は活性酸素種などが関与する酸化ストレス関連疾患に及ぼす電解還元水(電解水素水)の改善効果に注目し、当研究室及び電解水素水整水器メーカーである(株)日本トリムとの共同研究が開始されました。リポ多糖類(LPS)を投与したマウスは脳の炎症により、食欲低下、運動低下、サーカディアンリズムの乱れなどが起こりますが、電解水素水を飲用させたマウス群は早く疾病行動から回復することが明らかとなり、その作用機構は脳のミクログリア(マクロファージ様細胞)からの炎症性サイトカインの分泌抑制などによることが明らかとなりました。その研究成果は2012年7月にPLoS ONE誌に発表され、九州大学、カロリンスカ研究所及び(株)日本トリム三者の共同記者発表が九州大学において行われました。
 その後の共同研究では、電解水素水を飲用させたマウスはカロリー制限したマウスと同様に寿命が大幅に延長することが明らかになりつつあります。現在、認知症や睡眠の質の向上などに関する解析が進められています。高齢化社会において、電解水素水の飲用の有用性が明らかになるものと期待されます。

(2014年4月15日火曜日)

低分子化フコイダンに関する臨床試験が進んでいます。

 フコイダンは硫酸化フコースを多量に含んだ粘質性多糖類の総称です。低分子化フコイダンは吸収されやすいように酵素で低分子化したフコイダンです。当研究室では、フコイダンにはガン細胞の増殖抑制、転移・浸潤抑制、血管新生抑制、表面糖鎖の正常化、腫瘍免疫の活性化、担ガンマウスの寿命延長などの多彩な抗腫瘍効果があることが明らかになっています。また、抗ガン剤との併用により抗ガン剤の作用を増強するとともに正常細胞に対する抗ガン剤の毒性を軽減するという研究結果を得ています。現在は2人に一人がガンにかかり、2人に一人がガンでなくなる時代です。とりわけ、進行ガンは手術、放射線治療、抗ガン剤治療が難しく、末期になると現代医療から見放されることが問題になっています。低分子化フコイダンの飲用により末期のガン患者の症状やQOL(生活の質)が改善されることが多くの臨床医により報告されています。鳥取大学医学部の臨床試験では抗ガン剤治療を受けている患者に対してフコイダンを併用したところ、抗ガン剤の副作用が軽減されたという論文が発表されています。低分子化フコイダンを中心にしたガンの統合医療に関心を持つ全国の医師が参加して低分子フコイダン(LMF)研究会が発足しました。LMF研究会では定期的に症例検討会議を開催し、基礎研究の成果発表と臨床例の検討会を行い、情報を共有するとともにより良いガン治療法の確立を目指しています。LMF研究会ではガン患者の同意を得て、ガン患者の免疫に及ぼす低分子化フコイダンの効果を明らかにする臨床試験を実施しています。
 当研究室ではフコイダン研究が多くのガン患者さんに希望を与える医療に貢献できることを願っています。

(2014年4月15日火曜日)

2013年11月に日本機能水学会学術大会が福岡市で開催されました。

  2013年11月16日及び17日に福岡市天神にあるアクロス福岡において、第12回日本機能水学会学術大会が白畑實隆教授を大会委員長として開催されました。日本機能水学会は健康に良いアルカリイオン水などの普及を目指して厚生労働省を主務官庁とする(財)機能水研究振興財団が中心となって設立された学会です。
 大会概要は下記のとおりでした。
テーマ: 「新産業を創成する機能水研究の新展開」
主 催: 日本機能水学会
共 催: 機能水研究振興財団、ウォーター研究会、関西ウォーター研究会
後 援: 日本口腔機能水学会、アルカリイオン整水器協議会、微酸性電解水協議会、日本医療・環境オゾン学会、日本動物細胞工学会、九州大学大学院システム生命科学府、九州大学大学院農学研究院
協 賛: 韓国水学会、CKJ 国際機能水会議
プログラム:
飲用アルカリ性電解水(基礎・応用)、酸性電解水(基礎、医療・歯科・介護・公衆衛生、食品など)、 各種機能水(オゾン水・水素水: 基礎・応用)、一般演題、特別講演・教育講演、CKJ 国際会議
特別講演:藤嶋 昭 先生 (東京理科大学・学長) 光触媒とダイヤモンド電極による水処理
教育講演:佐藤 聡 先生 (日本歯科大学新潟歯学部教授) 高齢社会の口腔ケアと機能水
     後藤喜晃 先生 (ミツカン水の文化センター・センター長) 現代の水運び
     矢部 彰 先生 (産業技術総合研究所理事) 微細気泡産業の未来 −ウルトラファインバブルの科学的基盤と産業育成−  
 藤嶋先生は酸化チタンの触媒研究で著名な研究者です。また、矢部先生はナノバブルの産業応用への研究で良く知られた研究者です。
 会議には150名程度の参加者があり、機能水の最新研究発表に対する活発な議論が行われました。

(2014年4月15日火曜日)

2013年10月にブルガリアで「第8回水の物理学、化学、生物学会議」が開催されました。

 水は酸素原子を中心に2つの水素原子との結合部位、2つの対電子が頭頂に存在する正四面体構造をしています。水分子どうしは水素結合で弱く結合してクラスター構造を形成します。これまで、水分子との激しい運動のためにそのクラスター構造は10-12秒ごとに変化するために、水の構造に一定の機能を期待することは難しいと考えられてきました。しかし、イスラエル工科大学のダニエル・シュヒトマン博士は結晶構造、アモルファス状態のほかに準結晶状態が存在することを明らかにし、2011年にノーベル化学賞を受賞しました。最近の研究で、液体の水は20分子の水からなる正十二面体の球状構造がさらに積み重なった280分子の水からなる正二十面体構造をしているという説が提唱されています。通常の水は、高度に秩序だった低密度水と低い秩序を持った折りたたまれた低密度水が混在した状態にあり、外部エネルギーを吸収したり放出したりすることで瞬時にその混合比率が変化する一種のエネルギー受信器あるいは発信器のような性質を有すると推測されています。
 さらに、ワシントン大学のGerald H. Pollack教授(専門は生物物理学)のグループが主として明らかにしたように、負に帯電したナノ粒子や樹脂に隣接した水は0.1 mmから1 mm以上にわたって液晶化します。マイナスイオンは液晶水を形成させるという点で特に強い作用を持っているようです。プラスイオンでは不安定な液晶水しかできず、疎水性表面ではまったく液晶水は形成されないとされています。液晶水は氷のような固体の水、液体の水、蒸気の水に続く第四番目の水の相であると考えられています。液晶水の構造はH2Oではなく、H1.5Oであると推定されており、特異な物理学的及び化学的特性を持っています。液晶水はアルカリ性で電子過剰な状態にあり、そこから電気を取り出すことができます。液晶テレビモニターが電気や光エネルギーを変換できるように、液晶水も光エネルギーを電気に変換することができます。液晶の特性は記憶ができることにあり、液晶水にも記憶機能が期待されています。生体の水はほとんどが液晶水であると推測されており、生体は水の液晶状態を瞬時に変化させ制御できると考えられています。
 会議では液晶水やミネラルナノ粒子を多数含む天然水の再評価に関する研究などが多数発表されました。なかでも、エイズウイルスの発見により2008年にノーベル医学・生理学賞を受賞したフランスのLuc Montagnier博士は抗エイズ薬により血漿中にエイズウイルスが検出されなくなったエイズ患者からエイズウイルス特有の電磁波を放射されていることを発見しました。研究の結果、エイズウイルスに隣接する液晶水がエイズウイルス特有の塩基配列情報を保持した電磁波を発射しており、その電磁波を照射した水が同一の構造の液晶水を作り出し、プライマーのオリゴヌクレオチドとDNAポリメラーゼを添加することにより同じ塩基配列のDNAが複製されるという驚くべき発見について発表しました。これまで知られている分子の衝突を基盤とした免疫防御系に対して、電磁波を介したウイルス感染の脅威に対抗する新たな免疫学的防御法の開発が必要であると話されていました。
 これらの研究は今後の生物学の進展に大きなインパクトを与えるものと思います。2014年10月9日から12日まで「第9回水の物理学、化学、生物学会議(The Ninth Conference on Physics, Chemistry, and Biology of Water)」がブルガリアで開催されます。新たな研究発表が期待されます。

(2014年4月15日火曜日)

当研究室の大学院生が日本学術振興会特別研究員に採択されました。

 2013年10月当研究室で白金ナノ粒子による細胞内レドックス制御機構について研究している博士後期課程2年の大学院生が日本学術振興会特別研究員に新たに採択されました。2014年3月末現在で、当研究室では2名のポストドク及び大学院生が日本学術振興会特別研究員に採択され研究を行っています。

(2014年4月15日火曜日)

白畑教授がカロリンスカ研究所で第4回目のセミナーを開催しました。

  2013年6月23日から26日までフランスのリールで第23回欧州動物細胞工学会大会が開催されました。白畑教授、濱崎特任助教及び2名の大学院生が大会に参加した後、カロリンスカ研究所を訪問し、6月28日にカロリンスカ研究所で白畑教授のセミナーが開催されました。白畑教授はセミナーで水素分子、水素原子、及びPtナノ粒子のレドックス制御因子としての機能ついて研究についての最新の研究発表が行なった後、新しい高次脳機能に関する仮説として液晶水ー意識相関仮説が提唱しました。
 高次脳機能には意識、思考、記憶などがあります。その中でも意識はもっとも解明が難しい「科学における難しい問題」の一つとされています。現在の科学技術をもってすればやがては解決できるであろうと予想される問題は「科学における簡単な問題」と呼びます。これに対し、現代科学をもってしても解決できるかどうかわからない問題を「科学における難しい問題」と呼んでいます。
 液晶水-意識相関仮説は脳の水の液晶状態と意識エネルギーとの相関を解析することにより意識エネルギーの存在を解明できる可能性があるという仮説です。
 セミナーの翌日は土曜日でしたので、腎臓内科の医師であるセカテリ教授のご主人とともに、ヨットでのセーリングを楽しんだ後、ご自宅に招待され、遅くまで液晶水-意識相関仮説について議論が交わされました。

(2014年4月15日火曜日)

発酵乳ケフィアの放射線障害防護効果に関する論文を発表しました。

 発酵乳ケフィアはカスピ海沿岸のグルジア共和国コーカサス地方の長無村で2000年前から飲用されている発酵乳です。ヨーグルトと異なり、数十種類の菌が共生発酵をしているため、発酵食品としての機能が特に高いことが知られています。当研究室ではこれまで免疫増強作用、抗ストレス作用、紫外線防護効果、DNA修復促進効果、抗糖尿病効果、抗メタボリック症候群効果を明らかにしてきました。この度、広島大学放射線医学研究所との共同研究成果をまとめたケフィアの放射線防護効果に関する論文が発表されました。

Protective Effects of the Fermented Milk Kefir on X-Ray Irradiation Induced lntestinal Damage in B6C3F1 mice.
K. Teruya, Y. Myojin-Maekawa, F. Shimamoto, H. Watanabe, N. Nakamichi, K. Tokumaru, S. Tokumaru, S. Shirahata.

Biol. Pharm. Bull. 36(3), 352-359 (2013).

要旨:放射線治療に伴う胃腸障害は現在避けられないものになっています。放射線照射によって引き起こされる胃腸障害に対するケフィアの保護効果の有用性について評価しました。2倍または10倍希釈されたケフィア上清が放射線照射の1週間前からマウスに投与されました。2 Gy/minの照射速度で8 グレイ(Gy)のX線照射を行った後、さらに15日間のケフィア投与を行いました。通常の飲料水を投与したコントロールマウスの生存率は照射後4日目から9日目まで70%に低下しました。一方、10倍及び2倍希釈のケフィアグループでは100%のマウスが照射後9日目まで生存しました(それぞれ、p<0.05及びp<0.01)。4 Gy/minの照射速度で8、10、12 Gy照射に対する腸陰窩再生試験では、両方の希釈ケフィア溶液投与マウスで腸陰窩数が有意に増加しました(p<0.01)。組織学的及び免疫組織学的試験の結果、希釈ケフィア溶液が放射線照射から腸陰窩を保護し、腸陰窩再生を促進することが明らかになりました。さらに、凍結乾燥ケフィア粉末は8 Gyの放射線照射後、睾丸重量を有意に快復させましたが(p<0.05)、体重及び脾臓の重量には影響しませんでした。これらの発見から、ケフィアが放射線防護剤として有望な候補であることが示唆されます。
Gastrointestinal damage associated with radiation therapy is currently an inevitable outcome. The protective effect of Kefir was assessed for its usefulness against radiation-induced gastrointestinal damage. A Kefir supernatant was diluted by 2- or 10-fold and administered for 1 week prior to 8 Gray (Gy) X-ray irradiation at a dose rate of 2 Gy/min, with an additional 15 d of administration post-irradiation. The survival rate of control mice with normal drinking water dropped to 70% on days 4 through 9 post-irradiation. On the other hand, 100% of mice in the 10- and 2-fold-diluted Kefir groups survived up to day 9 post-irradiation (p<0.05 and p<0.01, respectively). Examinations for crypt regeneration against 8, 10 and 12 Gy irradiation at a dose rate of 4 Gy/min revealed that the crypt number was significantly increased in the mice administered both diluted Kefir solutions (p<0.01 for each). Histological and immunohistochemical examinations revealed that the diluted Kefir solutions protected the crypts from radiation, and promoted crypt regeneration. In addition, lyophilized Kefir powder was found to significantly recover the testis weights (p<0.05), but had no effects on the body and spleen weights, after 8 Gy irradiation. These findings suggest that Kefir could be a promising candidate as a radiation-protective agent.

(2013年5月7日火曜日)

低分子化フコイダンの抗腫瘍効果に関する論文を発表しました。

論文1
Induction of Apoptosis by Low-Molecular-Weight Fucoidan through Calcium- and Caspase-Dependent Mitochondrial Pathways in MDA-MB-231 Breast Cancer Cells
MDA-MB-231乳ガン細胞におけるカルシウム及びカスパーゼ依存性ミトコンドリア経路を介した低分子化フコイダンによるアポトーシスの誘導

張鐘元(1)、照屋輝一郎(1,2)、江藤博(3)、白畑實隆(1,2)
1. 九州大学大学院生物資源環境科学府 2. 九州大学大学院農学研究院生命機能科学部門 3. 第一産業株式会社

Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 77(2), 235-242 (2013).

要旨: 褐藻から抽出されたフコースに富む多糖類であるフコイダンは抗腫瘍、抗凝集、抗ウイルス、抗炎症、及び抗菌活性をもっている。いくつかの研究により、ガン細胞のフコイダン処理により細胞毒性とアポトーシスが誘導され、血管新生及び浸潤を阻害されることが示されている。私たちはこの研究でエストロゲンレセプター陰性のMDA-MB-31ヒト乳ガン細胞のアポトーシスに及ぼす低分子フコイダン(LMWF)の効果を調べた。MDA-MB-231細胞のLMF処理はカスパーゼの活性化及びミトコンドリアの不全と関連しており、ミトコンドリアの膜電位(Δψm)、Ca2+ホメオスタシスの変化、チトクロームcの放出、そして抗アポトーシス性Bcl-2ファミリータンパク質の発現低下を伴った。LMF誘導MDA-MB-231細胞死を仲介する分子的な事象の理解はガンに対するより合理的なアプローチに貢献するであろう。
Fucoidan, a fucose-rich polysaccharide extracted from brown seaweed, has antitumor, anticoagulant, antiviral, anti-inflammatory, and antibacterial activities. Several studies have shown that a fucoidan treatment of cancer cells induced cytotoxicity and apoptosis and inhibited angiogenesis and invasion. We investigated in the present study the effect of low-molecular-weight fucoidan (LMWF) on apoptosis in estrogen receptor negative MDA-MB-231 human breast cancer cells. The LMWF treatment of MDA-MB-231 cells was associated with the activation of caspases and mitochondrial dysfunction, including dissipation of the mitochondrial membrane potential (Δψm), alteration of Ca2+ homeostasis, cytochrome c release, and decreased expression of antiapoptotic Bcl-2 family proteins. Understanding the molecular events that mediated LMWF-induced MDA-MB-231 cell death will contribute to a more rational approach to cancer chemotherapy.

論文2
Fucoidan Extract Enhances the Anti-Cancer Activity of Chemotherapeutic Agents in MDA-MB-231 and MCF-7 Breast Cancer Cells
フコイダン抽出物はMDA-MB-231及びMCF−7乳ガン細胞において化学療法剤の抗腫瘍活性を増強する

張鐘元(1)、照屋輝一郎(1,2)、吉田敏宏(3)、江藤博(4)、白畑實隆(1,2)
1. 九州大学大学院生物資源環境科学府 2. 九州大学大学院農学研究院生命機能科学部門 3. 吉田クリニック 第一産業株式会社

Marine Drugs 11(1), 81-98 (2013).

要旨:褐藻類から単離されたフコースに富む多糖類であるフコイダンは現在新しい抗腫瘍化合物として研究がされつつある。本研究では、モズク(Cladosiphon navae-caledoniae Kylin)由来のフコイダン抽出物(FE)を酵素消化により調製した。私たちはフコイダンとシスプラチン、タモキシフェン、またはパクリタキサセルとの組合せがガン治療における治療効果を改善する可能性を持っているかどうかを調べた。これらの同時処理はMDA-MB-231細胞及びMCF-7細胞において、細胞周期の修飾と同様に、有意に細胞増殖阻害を誘導した。FEは3つの化学療法剤による処理に応答するガン細胞において、抗アポトーシスタンパク質であるBcl-xL及びMcl-1の下方修正を伴ってアポトーシスを増強した。組合せ処理はMDA-MB-231細胞においてはERKとAktのリン酸化の明らかな減少を誘導したが、MCF-7細胞ではERKのリン酸化が増強された。さらに、私たちは組合せ処理が乳ガン細胞において細胞内ROS(活性酸素種)レベルを増強し、グルタチオン(GSH)レベルを減少させることを明らかにした。これらのことから、酸化ストレスの誘導が組合せ処理によって誘導される細胞死における重要な現象であるということが示唆された。
Fucoidan, a fucose-rich polysaccharide isolated from brown alga, is currently under investigation as a new anti-cancer compound. In the present study, fucoidan extract (FE) from Cladosiphon navae-caledoniae Kylin was prepared by enzymatic digestion. We investigated whether a combination of FE with cisplatin, tamoxifen or paclitaxel had the potential to improve the therapeutic efficacy of cancer treatment. These co-treatments significantly induced cell growth inhibition, apoptosis, as well as cell cycle modifications in MDA-MB-231 and MCF-7 cells. FE enhanced apoptosis in cancer cells that responded to treatment with three chemotherapeutic drugs with down regulation of the anti-apoptotic proteins Bcl-xL and Mcl-1. The combination treatments led to an obvious decrease in the phosphorylation of ERK and Akt in MDA-MB-231 cells, but increased the phosphorylation of ERK in MCF-7 cells. In addition, we observed that combination treatments enhanced intracellular ROS levels and reduced glutathione (GSH) levels in breast cancer cells, suggesting that induction of oxidative stress was an important event in the cell death induced by the combination treatments.

(2013年5月7日火曜日)

日本動物細胞工学会国際会議で「Water and Life in Bioscience」シンポジウム開催

 2012年11月27日から30日まで名古屋市名古屋国際会議場で第25回日本動物細胞工学会国際会議が開催されました。11月27日に”Biosciences on water and life(水と生命のバイオサイエンス)”が開催されました。シンポジウムではワシントン大学のGerald Pollack教授が液晶水の様々な機能について、また白畑教授が電解還元水の最新研究について発表しました。

S1. 水と生命のバイオサイエンス
 オーガナイザー:白畑實隆(九州大学)及びGerald Pollack(ワシントン大学)

 水は生命にとって最も基本的な構成要素であるだけでなく、様々な生命機能において不可欠な役割を果たしている。最近、液晶水が同定された。この液晶の相は氷、液体、蒸気に続く第4番目の水の相に相当する。荷電した物質回りの液晶水は電気や光のエネルギーを蓄えることができ、顕著な特徴を示す。生物の中の水のほとんどは液晶水である。また、細胞内レドックス機構を制御できる電解還元水の健康に対する有益な効果に関する最新の研究についてもこのシンポジウムで議論された。

S1. Biosciences on water and life
 Organizers: Sanetaka Shirahara (Kyusyu University) and Gerald Pollack (University of Washington)

 Water is not only the most fundamental constituent for life, but also plays a variety of indispensable life functions. Recently, liquid crystal water was identified. This liquid crystal phase corresponds to the 4th phase of water, following ice, liquid, and vapor. The liquid crystal water surrounding charged materials can store electrical and light energies, and exhibits prominent features. Most of water in living organisms may be liquid crystal water. Recent progress of research on the health benefit of electrochemically reduced water, which can regulate the intracellular redox mechanisms will also be discussed in this symposium.

Gerald Pollack教授の発表要旨(和文):JAACT2012_Pollack_j.pdf
Gerald Pollack教授の発表要旨(英文):JAACT2012_Pollack.pdf
白畑實隆教授の発表要旨(和文):JAACT2012_Shirahata_j.pdf
白畑實隆教授の発表要旨(英文):JAACT2012_Shirahata.pdf

(2013年5月7日火曜日)

カロリンスカ研究との共同研究成果をプレスリリース

 九州大学、スウェーデン国カロリンスカ研究所、(株)日本トリム三者の共同研究成果が2012年7月末にPLoS ONE誌に「Molecular Hydrogen Reduces LPS-Induced Neuroinflammation and Promotes Recovery from Sickness Behaviour in Mice (水素分子はマウスのLPS誘導神経炎症を抑制し、病的行動からの快復を促進する)」という題名の論文が出版されました。これを期に7月23日に実験を担当したカロリンスカ研究所神経科学科神経毒性学研究室のStefan Spubler博士を招聘し、九州大学本部でプレスリリースが行われました。研究の内容は以下のとおりです。

 カロリンスカ研究所神経科学科神経毒性学研究所では永年水俣病を引き起こした有機水銀などの重金属や化学合成物質による神経毒性に関する研究を行っています。活性酸素種は脳の中枢神経障害にも大きく影響していますが、血液—脳関門により抗酸化物質の脳への運搬は大きく制限されています。水道水を活性炭フィルターを通して浄水にした後、電気分解することにより作成する電解還元水(アルカリイオン水)が水素分子を多量に含んでいます。最近、水素分子が酸化ストレス関連疾患を効果的に抑制することが明らかになりました。そこで、ストックホルム市にあるカロリンスカ研究所に電解還元水整水器を設置し、ストックホルム市の水道水由来の電解還元水と電解前に浄水を飲用させたマウスにリポ多糖(LPS)を投与し、全身に炎症を引き起こしました。脳内の炎症のために、マウスは食欲が減退し体重が減少しました。また、運動量が減少し、24時間リズム(概日リズム)も変化しました。マウスは通常昼間寝て夜活動しますが、LPS投与マウスは昼間活動して夜寝るという以上な概日リズムを示しました。浄水を飲ませたマウスに比べて、電解還元水を飲ませたマウスは体重の減少や概日リズムの変化が少なく、変調から早く快復しました。経炎症の誘発の分子機構を調べるために、LPS 投与マウスの海馬のサイトカイン遺伝子発現を調べました。その結果、電解還元水投与マウスでは、プロ炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β、及び IL-6)のより強い誘導とより早い抑制が起こること、抗炎症性サイトカイン(IL-10)のより早い誘導が起こること、抗酸化レドックス制御のより早い誘導が起こり、神経炎症の消失/回復が起こること、神経栄養因子の誘導が起こること、抗炎症性サイトカイン(IL-10)及び抗酸化系(Nrf2)のより持続した誘導が起こることが見出されました。 また、脳内に神経炎症に主要な役割を果たしている ミクログリアへの影響を調べるために、不死化ミクロ グリア細胞株 BV-2 を用いて分子状水素豊富培地の影響を調べました。分子状水素豊富培地では正常な状態でミクログリアによる抗炎症性サイトカイン(IL-10) の発現増強が認められました。また、LPS 刺激後には、分子状水素豊富培地中で増殖したミクログリア細胞における応答のより強い活性化とより早い消失が認められ、インビボと同様な発現プロフィールを示すことが明らかとなりました。脳内の神経炎症はミクログリアによって仲介されることが知られていますが、不死化マウスミクログリア細胞株においても電解還水はインビボと同様な変化を誘導したことから、インビボでの電解還元水の作用にミクログリアが強く関係していることが示唆されました。

論文(英文)のダウンロード先:http://www.plosone.org/article/info:doi/10.1371/journal.pone.0042078
九州大学プレスリリース補足資料(和文):press_release(20120723-2).pdf

(2013年5月7日火曜日)

電解還元水は細胞内活性酸素種を消去し、ガン細胞の増殖を抑制する!

 電解還元水はガン細胞の悪性の形質である血管新生を抑制することが報告されていますが、2012年7月に電解還元水がガン細胞の浸潤能を抑制するという論文が発表され、九州大学と(株)日本トリムは共同でプレスリリースしました。

 正常細胞のガン化はDNAの損傷→異常細胞の発生→良性腫瘍の発生→悪性腫瘍の発生→転移・浸潤能、薬剤耐性能の獲得、染色体の不安定化の経路をたどります。転移・浸潤はガン細胞の最も悪性の性質の一つであり、ガン患者の死に直結します。これらのガン細胞の悪性化及びガン形質の発現に細胞内活性酸素が密接に関連していることが明らかにされています。ガン細胞が一カ所に留まらずに浸潤していく過程にはマトリックスプロテアーゼ(MMP-2やMMP-9)などのタンパク分解酵素が関与しています。最近の研究でMMP-2やMMP-9の発現に細胞内過酸化水素が関与していることが明らかにされています。転移・浸潤を起こしやすいヒト線維肉腫細胞株HT1080を電解還元水を含む培地で培養すると、超純水培地で培養した細胞に比べて細胞内過酸化水素量が減少しました。同時に、ガン細胞の転移浸潤能が抑制されました。電解還元水培地中ではMMP-2遺伝子及びMMP-2タンパク質を活性化するMT1-MMPの遺伝子発現が抑制されましたが、MMP-2タンパク質の酵素活性を阻害するTIMP遺伝子の発現は抑制されませんでした。これらの結果から、電解還元水は細胞内過酸化水素を制御することによりガン細胞の悪性の性質である浸潤能を抑制することが推測されました。

プレスリリース資料(和文): press_release(20120723).pdf

(2013年5月7日火曜日)

「健康に良い還元水研究の進歩」総説論文を発表

 当研究室では健康に良い水・還元水に関する研究を16年以上にわたって行ってきました。この度、これまでの研究成果と内外の研究動向をまとめた総説論文「Advanced research on the health benefit of reduced water」を食品科学工学分野では高いインパクトファクターを持つTrends in Food Science & Technology誌に発表しました。同論文は2011年11月にオンライン出版、2012年2月に印刷出版されましたが、幸い、2011年3月下旬まで同誌で最近90日間で最も頻繁に読まれた論文の中で第1位を占めました。この論文はオープンアクセス論文ですので世界中の方が無料で読むことができます。また、より多くの方に還元水研究について知って頂くために、同論文を和訳するとともに最新情報を追加した和文論文「健康に良い還元水研究の進歩」を作成しました。ご関心のある方はご自由にダウンロードして下さい。(文責 白畑實隆)

英語論文:
“Advanced research on the health benefit of reduced water”
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0924224411002408

和文論文:
「健康に良い還元水研究の進歩」 tfst-j.pdf

(2012年4月26日木曜日)

フコイダンのアポトーシス誘導機構に関する論文をPLoS ONE誌に発表

 低分子化フコイダンは統合医療の分野において進行ガン患者の治療に利用されており、その作用機構の解明が期待されています。当研究室ではこれまで低分子化フコイダンがガン細胞に対してガン細胞特異的な増殖抑制効果、アポトーシス誘導効果、転移・浸潤及び血管新生抑制効果、ガン細胞表面糖鎖構造の変化誘導効果を有することを報告してきました。この度、低分子化フコイダンは通常のアポトーシス誘導経路であるカスパーゼ経路が破損している乳ガン細胞に対してはカスパーゼ非依存性のアポトーシスを誘導することをPLoS ONE誌に発表しました(2011年11月掲載)。低分子化フコイダンは複数の経路で種々のガン細胞にアポトーシスを誘導することが明らかになりました。この論文はオープンアクセス論文ですので、自由に読むことができます。興味のある方は下記のアドレスからダウンロードして下さい。

“Fucoidan extract induces apoptosis in MCF-7 Cells via a mechanism involving the ROS-dependent JNK activation and mitochondria-mediated pathways”

http://www.plosone.org/article/info:doi/10.1371/journal.pone.0027441

(2012年4月26日木曜日)

白畑教授がカロリンスカ研究所等でセミナー開催

 2011年5月8日から25日まで海外出張して、中国・北京、スウェーデン・ストックホルム、オーストリア・ウィーン、中国・大連で機能水や機能性食品に関するセミナーや学会発表を行った。5月9日に北京市にある中国農業科学院農業食糧研究所において、機能性食品研究室のWang Qiang教授が主宰する合同セミナーが開催され、還元水による生活習慣病抑制に関する研究及び低分子フコイダンによるガン細胞特異的アポトーシス(細胞死)誘導機構について研究報告を行った。中国側からも穀類由来の抗腫瘍多糖類についての発表があり、有意義な討議を行うことができた。

 5月12日にはスウェーデン国ストックホルムのカロリンスカ研究所で招待セミナーを行った。カロリンスカ研究所での招待セミナーは今回で3回目であった。カロリンスカ研究所での最初のセミナーは2007年5月15日に開催された。招聘者はSten Orrenius名誉教授であった。同教授はカロリンスカ研究所(カロリンスカ医科大学)の医学部長、環境医学研究所長を歴任されたミトコンドリアの活性酸素研究の大家である。ノーベル生理学・医学賞は5人の選考委員によって候補者が決定されるが、その委員を長年されたと言われている重鎮の先生である。環境医学研究所で開催されたセミナー【Sanetaka Shirahata: Action mechanism of reduced water for prevention and improvement of oxidative stress-related disease (酸化ストレス関連疾患の予防及び改善効果を持つ還元水の作用機構)】には多くの教授や研究員、学生が参加され、細胞内活性酸素を消去し、酸化ストレス関連疾患を抑制する電解還元水及び天然還元水の作用機構について熱心な討議がなされた。セミナー終了後、Orrenius名誉教授の毒性学研究室の後継教授であるBoris Zhibotovsky教授と環境化学物質が胎児の脳神経発生に及ぼす影響について研究されているSandra Ceccatelli教授を紹介された。また、Orrenius名誉教授のご自宅に招待され、奥様とともに夕食をご馳走になった。

 第2回目のスウェーデン生理学会が後援した招待セミナーは2009年6月4日にカロリンスカ研究所神経科学科で開催された。招待者は神経科学科神経毒性学教室のSandra Ceccatelli教授で、セミナータイトルはReduced water containing hydrogen and platinum nanoparticles for prevention and improvement of oxidative stress-related disease (酸化ストレス関連疾患の予防及び改善のための水素及び白金ナノ粒子を含む還元水)であった。悪天候のため、ストックホルムの空港に到着したのが、午後4時から予定されていたセミナーの1時間前であった。1時間ほど遅れてセミナーが開催されたにもかかわらず、多くの教授や研究員が待っていて下さり、予定の1時間を超えて、1時間半ほど熱心な討議が行われた。翌朝、セミナーに参加された名誉教授の先生がわざわざ寄ってこられ、「私たちは新しい研究の始まりとして還元水研究に注目している。頑張って下さい」とエールを送って下さった。

 2011年5月12日に環境医学研究所毒性学教室のBoris Zhibotovsky教授の招待で開催された招待セミナー【Sanetaka Shirahata: Action mechanisms of hydrogen and mineral nanoparticles as newly recognized redox regulation factors in animal cells(動物細胞における新規レドックス調節因子としての水素及びミネラルナノ粒子の作用機構)】には多くの教授や研究員、学生が参加され、Orrenius名誉教授にも参加して頂いた。招待者のZhibotovsky教授はミトコンドリアの機能不全による細胞死の機構解析で著名な科学者である。同氏が当研究室で行っている低分子フコイダンによるガン細胞特異的アポトーシス誘導効果に興味を示された為、セミナーでは還元水の作用機構に加えてフコイダンの抗腫瘍効果についても研究成果を発表した。セミナー終了後、Orrenius名誉教授、准教授の先生方及び学生と討議を行った。Orrenius名誉教授から「この4年間で還元水に関する研究が大変進歩した。なかでも活性水素の作用が興味深い。また、フコイダンに関する研究も臨床上大変重要である」とのコメントを頂いた。

 著者(白畑)の恩師である故山藤一雄九州大学名誉教授はカイコの多核体ウイルス遺伝子がカイコの正常染色体中に存在しており、過酸化水素などの活性酸素の働きでDNAが切断されてウイルスが産生されるというプレウイルス説を世界で始めて提唱され、Nature誌に10報論文を発表された。九州大学が福岡市西区にある伊都キャンパスに移転するにあたって行った調査では九州大学の100年の歴史の中で最も高いインパクトファクターを持つ独創的な科学者であると評価されている。山藤先生はウイルスの起源に関する研究は物質である遺伝子からウイルスという生命体が生まれるという意味では生命の起源につながるが、もう一つの魅力的なテーマは人間の高次脳機能と意識に関する研究であると言われていた。63歳で九州大学を定年退官後も大学に残られ、自費で脳機能に関する研究を続けられ、70歳の頃に、脳の記憶機構にDNAや膜タンパク質の水素が関与するという脳機能の水素結合説を提唱された。さらに75歳の頃には脳の意識と想起にアンモニア分子メーザー(レーザー)光が関与するという説を提唱された。著者は山藤先生が72歳から76歳の頃に師事して脳の記憶・意識の分子機構について研究をさせて頂いた。その頃に水が記憶に関係する可能性についても研究を行った。著者が27歳から31歳の頃であったが、数学、物理学、化学、生物学、さらには哲学も駆使して独創的な発想を湧かせるにはどうしたら良いかと言うことを徹底的に教えて頂いた。山藤先生は40数名のノーベル賞科学者と親交があったが、とくに、スウェーデンのハンス フォン オイラー教授(解糖系の研究でノーベル賞受賞)とそのご子息のウルフ フォン オイラー教授(神経伝達物質としてのノルアドレナリンの再発見でノーベル賞受賞)とは家族ぐるみで付き合っておられた。Orrenius教授はウルフ フォン オイラー教授からカロリンスカ研究所の学生時代に講義を受けたことがあるとお聞きし感慨深いものがあった。山藤先生は1962年にスウェーデン化学会から日本人として初めてシェーレ賞を授与された。ウサギの耳にコールタールを塗ることにより世界で初めて癌を人工的に発生させた山際勝三郎先生と吉田肉腫を発見された吉田富三先生も同時に受賞された。

 ストックホルムでのセミナーの後、5月15日から18日までウィーンで開催された欧州動物細胞工学会大会に参加し、還元水とフコイダンに関する研究発表を行った。学会終了後、再びカロリンスカ研究所を訪問し、Sandra Ceccatelli教授と電解還元水に関する共同研究について討議を行った。Ceccatelli教授の研究室では日本のメーカーの電解還元水整水器を設置し、ストックホルム市の水道水から作製した飲用可能な電解還元水(pH 9~10)をマウスに飲用させたところ、脳の炎症が有意に抑制されるという明確な研究成果を得ており、現在論文作成中である。研究員や学生の多くが電解還元水の活性酸素消去作用に注目していた。Ceccatelli教授のご主人はカロリンスカ病院の腎臓内科の医師であり、電解還元水を用いた電解水透析法に関する臨床試験がカロリンスカ病院で開始されることになった。水道水を用いて作製した透析液に比べて、電解還元水を用いて作製した透析液では末期腎不全患者の酸化ストレスや透析に伴う副作用が軽減されることが多くの論文により証明されている。  5月23日には中国・大連市で開催された第4回世界癌会議で低分子フコイダンによるガン細胞特異的アポトーシス誘導効果について研究発表を行った。世界各国から集まった研究者がフコイダンの顕著な効果に注目し、とりわけ、臨床効果について多くの関心と質問が集中した。

 電解還元水には水素分子やミネラルナノ粒子が含まれており、その相互作用により強力な還元物質である活性水素(原子状水素)が発生する。電解還元水中の水素は水素ガスボンベから吹き込んだ水素水よりも還元活性が高いことが報告されている。また、微量のミネラルナノ粒子はSOD酵素やカタラーゼ酵素と同様な触媒活性を持つほか、ヒドロキシルラジカルを消去する活性も極めて高いことを当研究室で明らかにしている。また、水素化ミネラルナノ粒子は活性水素を供与する新しい抗酸化剤として注目されている。無害な飲料水を用いて作製される電解還元水は電気エネルギーを水素やミネラルナノ粒子の形で保持した水であり、天然還元水(いわゆる奇跡の水と言われている水の一部)は地下の岩石エネルギーにより地下水が還元されて水素やミネラルナノ粒子を含むようになったエネルギー水であると考えられる。地下は5000mの深さまで水素を食べて生きる岩石栄養生物が大量に棲息する地球最大の生命圏であることが明らかにされている。これらの還元水は電子を放出して細胞内の過剰な活性酸素を消去した後は無害な水に戻るため安全であると推測される。モズクやワカメ等の粘質性多糖類であるフコイダンはガン細胞特異的アポトーシス誘導効果、血管新生抑制効果、腫瘍免疫増強効果、ガンの転移・浸潤抑制効果を持つ臨床上有効な治療補助食品として利用が広まっている。当研究室では低分子フコイダンがガン細胞の転移・浸潤に深く関わっている糖鎖合成酵素N-アセチルグルコサミン転移酵素V及び転写因子Ets-1の遺伝子発現を強力に抑制し、ガン表面の異常糖鎖を変化させ、アポトーシスを起こしやすくすることを明らかにしている。今後、ガン、糖尿病、動脈硬化症、アレルギー症、脳神経変性疾患の予防や改善のために日常的に摂取できる還元水や機能性食品の利用が世界的に広がっていくことが期待される。

(文責 白畑實隆)

(2011年10月6日木曜日)

九州大学細胞制御工学教室市民公開セミナー

日時:平成23年9月20日 午後6時~7時
場所:九州大学農学部4号館110号教室
   福岡市東区箱崎6-10-1
   (九州大学キャンパスマップ 箱崎:http://portal.isee.kyushu-u.ac.jp/overview/campusmap.html をご参照下さい。
    64番の4号館と65番の5号館の間にある大講義室です。)
参加費:無料
講師:真島康雄先生(久留米市 真島消化器クリニック院長)
題目:動脈硬化は治る・改善する!  全身の血管エコーで血管の汚れが見える!  ~脳梗塞・心筋梗塞の完全予防法~」

概要:動脈硬化は血管の内側壁(内膜・中膜)にプラークと呼ばれる脂肪成分が蓄積し、血液の流れが悪くなる病気です。真島先生は肝臓ガンを中心とした肝臓の病気の治療を専門にされています。2007年に肝臓ガンの患者さんが心筋梗塞を発症されたのを機に、血管エコーを行ったところ、右鎖骨下動脈にプラークが蓄積しているのを発見しました。その後、数多くの患者さんを診察したところ、従来の頸動脈の血管エコー診断では動脈硬化の診断には不十分で、全身8カ所の血管エコーを行うことで脳梗塞・心筋梗塞の予知ができることを明らかにされました。また、過去の食生活習慣を調査することにより、食事と動脈硬化との関連を明らかにし、脳梗塞・心筋梗塞の食生活改善による完全予防法を提唱されています。
 多くの方のご来聴を歓迎します。

 参考:真島康雄著「脳梗塞・心筋梗塞は予知できる」幻冬舎(2009年)
    真島康雄:脳梗塞、冠動脈疾患の予知における右鎖骨下動脈及び頸動脈の内膜中膜肥厚計測の有用性。
         日本超音波医学雑誌、35(5)、545-552(2008).

世話人連絡先:
 九州大学大学院農学研究院生命機能科学部門
 システム生物学講座細胞制御工学分野
 教授 白畑 實隆
 Tel: 092-642-3045; Fax: 092-642-3052 Email: sirahata@grt.kyushu-u.ac.jp

(2011年9月13日火曜日)

白畑教授がカロリンスカ研究所で招待セミナー開催

 活性酸素を消去する還元水の酸化ストレス関連疾患の抑制効果について研究をしている白畑實隆教授は平成23年5月12日にスウェーデン国ストックホルム市のカロリンスカ研究所で2007年5月、2009年6月(スウェーデン生理学会後援)についで招待セミナーを行うことになりました。セミナー課題は「Action mechanisms of hydrogen and mineral nanoparticles as new redox regulation factors in animal cells」です。招待者はカロリンスカ研究所環境医学研究所毒性学研究室のBoris Zhibotovsky教授です。

(2011年5月12日木曜日)

白畑教授が電解水透析研究会で特別講演を実施

 糖尿病の合併症で腎不全を起こした患者は血液透析を定期的に行う必要があります。しかし、血液透析による酸化ストレスのために症状が次第に悪化していくことが問題になっています。血液透析には大量の水を使用することから、血液透析用の水として、水素分子を多く含む電解還元水を用いる電解水透析法が普及しつつあります。平成23年2月5日にJR東京駅に隣接した東北大学分室で第4回電解水透析研究会が開催され、白畑實隆教授が「電解還元水の基礎と応用」というタイトルで特別講演を行いました。

(2011年2月5日土曜日)

白畑教授がマイナスイオン応用学会で還元水に関する講演を実施

 平成22年10月15日東京大学山上会館で開催されたマイナスイオン応用学会において、白畑教授が還元水の最新研究について講演を行いました。

(2010年10月15日金曜日)

照屋助教が日本癌学会で酵素消化低分子フコイダンによるガン細胞特異的細胞死及び糖鎖合成経路の改変誘導に関する研究を発表

 平成22年9月22日に開催された第69回日本癌学会学術総会において、照屋輝一郎助教がフコイダンの抗腫瘍効果に関する研究発表を「糖鎖及び糖転移酵素(2)」のセッションで口演しました。硫酸化フコースを含むフコイダンを酵素消化した低分子フコイダン抽出物はガン細胞特異的アポトーシス誘導効果を示すため統合医療の分野で注目されています。

(2010年9月22日水曜日)

カロリンスカ研究所のサンドラ・セカテリ教授が九州大学でセミナー開催

 カロリンスカ研究所神経科学科神経毒性学研究室のサンドラ・セカテリ(Sandra Ceccatelli)教授は水俣病の原因となったメチル水銀や重金属の胎児脳に及ぼす毒性について研究をされています。平成22年9月7日に九州大学で「Effects of adverse environmental factors on neural stem cells」の演題でセミナーを開催されました。近年、環境汚染によるヒト胎児の発生障害が問題になっています。人工合成された化合物の80%近くが胎児発生に及ぼす悪影響について調べられていないと言われています。セカテリ教授は環境中の有害物質が胎児の神経発生に及ぼす影響について最新の知見を報告するとともに、若い研究者の質問にも丁寧に答えて頂きました。

(2010年9月7日火曜日)

日本動物細胞工学会国際会議で「水と生命」シンポジウム開催

 平成22年9月1~4日の日程で札幌市の北海道大学国際交流会館において第23回日本動物細胞工学会国際会議が開催されました。9月1日に白畑實隆教授(九州大学)及びサンドラ・セカテリ教授(カロリンスカ研究所)をオーガナイザーとして「水と生命(Water and Life)」シンポジウムが開催されました。
 シンポジストとして最初に大阪大学生命科学研究科の柳田敏雄教授が「Single molecular imaging and nanometry: fluctuation and function of life」のタイトルで講演されました。柳田教授はキネシンなどの分子モーターの研究を精力的に行い、水のブラウン運動による分子モーターへの衝突が機能に重要な役割を果たしていることを明らかにしました。柳田教授は水の分子運動による生物学的分子機械のゆらぎが生命にとっていかに重要であるかということを明らかにする先端研究について話をされました。
 スウェーデン国カロリンスカ研究所神経科学科のセカテリ教授は「Developmental effects of neurotoxic metals present in water」のタイトルで講演されました。水の中のミネラルや化学物質汚染は長期にわたり人体に影響を及ぼします。天然のミネラルであっても量が多くなると排泄が困難になり、体内に蓄積して悪影響を及ぼします。セカテリ教授はマンガンやメチル水銀の胎児に神経系に及ぼす毒性について講演されました。 
 九州大学の白畑教授は「Action mechanism of reduced water containing hydrogen and nanoparticles for prevention of oxidative stress-related diseases」というタイトルで講演をしました。生活習慣病(ガン、糖尿病、動脈硬化症、神経変性疾患など)の多くは酸化ストレスが関係する疾病です。白畑教授は新しい抗酸化物質として注目されている水素及びナノ粒子の酸化ストレス関連疾患抑制作用について最新の知見を発表されました。

(2010年9月1日水曜日)

「新体制での教育研究がスタート!」

 九州大学大学院農学研究院/大学院生物資源環境科学府では新しい時代環境に対応するため、平成22年4月より大幅改組を行いました。それに伴い、平成元年に発足した独立専攻大学院遺伝子資源工学専攻は学生募集を停止し、細胞制御工学教室は九州大学大学院農学研究院生命機能科学部門システム生物学講座に所属し、九州大学大学院生物資源環境科学府生命機能科学専攻システム生物学コース修士課程及び新設された生物産業創成専攻博士後期課程の教育研究を担当することになりました。これを機会に「細胞制御工学教室21年間の歩み」をまとめました。細胞制御工学教室ではこれまで同様他大学出身の学生を積極的に受入れ、学際的な教育研究を行っていきます。

(2010年4月30日金曜日)

カロリンスカ研究所に修士学生が短期留学!

 スウェーデン国カロリンスカ研究所(カロリンスカ医科大学)神経科学科神経毒性学 研究室に当研究室の修士課程学生が12月1日から2月10日までの予定で短期留学しまし た。神経細胞のアポトーシス死のメカニズムに関する研究を行っています。12月はノー ベル賞の授賞式もストックホルム市で開催されますので、良い刺激を受けて帰ってく ることを期待しています。

(2009年12月16日水曜日)

白畑教授によるカロリンスカ研究所でのセミナー開催と共同研究の開始

 平成19年6月15日に「酸化ストレス関連疾患の予防及び改善効果を持つ還元水の作用機構」という演題の招待セミナーをカロリンスカ研究所環境医学研究所で開催したのに続き、平成21年6月4日にカロリンスカ研究所神経科学科においてスウェーデン生理学会後援で白畑教授によるセミナー「酸化ストレス関連疾患を抑制する分子状水素及び白金ナノ粒子を含む還元水」が1時間半にわたって開催されました。セミナーでは最新のデータをもとに突っ込んだ議論が交わされました。セミナー終了後、電解還元水研究の重要性に鑑み、九州大学、電解還元水整水器のトップメーカーである株式会社日本トリム及びカロリンスカ研究所3者の共同研究を開始するとともに、早急に共同研究体制を強化して迅速に成果を挙げるとともに、提携しているカロリンスカ病院での臨床試験も視野に入れた研究を行うことになりました。詳細はエッセイ「水のこころ」第12話をご覧下さい。

Karolinska Institute Seminar
2009-06-04 Time:17:00-18:30 | Location: Conference room
Tellus, B2:2 Retzius väg 8. | Inst för Neurovetenskap
" Reduced water containing molecular hydrogen and platinum nanoparticles as a new antioxidant to prevent oxygen stress-related diseases"

-> Goto Abstract

Prof. Sanetaka Shirahata
Laboratory of Cellular Regulation Technology,
Division of Life Engineering,
Graduate School of Systems Life Sciences, Kyushu University Fukuoka, Japan
Sponsor: Swedish Physiology Society
Host:Sandra Ceccatelli MD, PhD
Professor of Neurotoxicology, Department of Neuroscience,
Karolinska Institutet
Retsiusväg 8 17177 Stockholm, Sweden

(2009年8月21日金曜日)

平成21年度日本学術振興会特別研究員に2名の大学院生が内定!

  日本学術振興会は将来我が国の科学研究を担う若手研究者の育成のために、特に優秀な研究を行っている大学院生に月額20万円の給与を2~3年間供与するとともに、最大150万円の年間研究費を支給し研究を奨励している。この度、当研究室の下記の2名の大学院生が平成21年度からの特別研究員に内定した。 富松航佑 DC2(平成21、22年度)(現在博士課程4年生(5年一貫制、システム生命科学府生命工学講座) 鵜殿美弥子 DC1(平成21~23年度)  (現在修士課程2年生、遺伝子資源工学専攻)

(2009年4月16日木曜日)

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