PROJECTS

 私たちの研究室では水の持つ特殊な機能、食品の持つ機能について様々な視点から研究を行いその機能解明に挑戦しています。ここでは私たちが 行っている共同研究プロジェクトを紹介します。

第一産業株式会社共同研究
抗腫瘍効果を持つ機能性食品の開発 -酵素消化低分子化フコイダン-

 フコイダン研究は九州大学大学院農学研究院生命機能科学部門システム生物工学講座細胞制御工学分野照屋助教の主導の下研究を行っている。
ー分化機能を発現する機能性培養細胞株は、医薬品のみならず、抗生活習慣病効果を持つ機能性食品の開発に利用できるー
 フコイダンはワカメ、コンブ、モズクなどの海藻由来の硫酸化フコースを多量に含む粘質多糖類である。最近、フコイダン、とりわけ、モズク由来酵 素 消化低分子フコイダン抽出物(LMF)が末期ガン患者の症状改善に効果を示すことが明らかとなり、統合医療において注目されている。実際、久留米 大学医学部病院においてフコイダンのみの飲用により末期肝臓ガン患者のすべてのガンが消失したことが学会で報告された。当研究室では統合医療に関 心を持つ医師と情報交換を行いながら、ガンの統合医療に貢献できる機能性食品の開発を目指した基礎研究を行っている。LMFは担ガンマウスにおい て強い腫瘍増殖抑制及び延命効果を示し、TLR4 を介したIL-12 誘導やin vivoでのナチュラルキラ−細胞の作用増強効果などの腫瘍免疫増強効果を示した。また、ヒト正常線維芽細胞の増殖は抑制しないにもかかわらず、種々の足場依存性細胞及び 非依存性ヒトガン細胞株の増殖を容量依存的に強く抑制した。LMFは強い細胞内過酸化水素消去作用を示し、ガン細胞の転移・浸潤及び血管新生を抑 制するとともに、腫瘍免疫を活性化した。さらに、FEが正常リンパ球にはアポトーシスを誘導しないにも拘わらず、ガン細胞には強いアポトーシスを 誘導することを明らかにした。LMFのアポトーシス誘導作用はデスシグナルの活性化の経路及びその他の経路によって引き起こされることが示唆され た。正常細胞がガン化する過程で細胞表面糖鎖構造に変化が起こり、マンノース糖鎖を認識するコンカナバリンA(Con A)に対する反応性が変化することは古くから知られている。N-アセチルグルコサミン転移酵素V(GnT-V)及びその上流の転写因子Ets-1遺伝子発現は多くのガン細 胞で亢進しており、ガン細胞の表面糖鎖構造の変化及び転移・浸潤能の獲得と深く関わっている。LMFはガン細胞特異的にGnT-V及びEts-1 の遺伝子発現を強く抑制し、Con A誘導性アポトーシスを増強することが明らかとなった。

日田天領水株式会社共同研究
天然還元水における抗疾病効果 -日田天領水の抗糖尿病効果の解析-

 我々の体では過剰なストレス、紫外線、化学物質、エネルギー代謝過程などにより活性酸素種が発生する。この活性酸素種は不安定であり、非常に反 応性が高いため様々な疾病の原因となることが知られている。平成19年の国民健康・栄養調査によると、糖尿病が強く疑われる人が890万人、糖尿 病の可能性が否定できない人が1320万人であり、合わせて2210万人が糖尿病患者かその疑いがある人であるとされている。1型糖尿病は膵臓の β細胞を攻撃するT細胞が原因で発生する活性酸素によってβ細胞が死滅し血糖値を下げるインスリンが分泌されなくなる遺伝子病の一つである。1型 糖尿病誘起剤であるアロキサンはグルコースと構造が似ているために膵臓β細胞の優先的に取り込まれ、活性酸素を発生させてβ細胞にアポトーシスを 誘導する。大分県日田市の深井戸水である日田天領水をはじめとした天然還元水は、長期間飲用することで糖尿病、動脈硬化症、ガンといった生活習慣 病の改善に効果があると期待されている。本研究によって日田天領水は膵臓β細胞内の活性酸素を消去するとともに、アロキサンによる細胞内活性酸素 上昇及びアポトーシス抑制することが明らかとなった。日田天領水はアロキサン投与により作成した1型糖尿病モデルマウスでも症状改善を示したこと から、抗1型糖尿病効果を持つ水であることが示唆された。

 2型糖尿病は運動不足、肥満、ストレスなどが原因で惹起される生活習慣病のひとつである。糖尿病患者では筋肉や脂肪細胞が酸化ストレスにより 機 能不全を起こし、インスリンが効果を示さないインスリン耐性の状態にあると考えられている。日田天領水はラット筋管細胞L6内の活性酸素を消去 し、糖取込み促進した(Oda et al., 1999)。これらの活性はオートクレーブにより失活した。これらの還元水はインスリンレセプターのリン酸化を促進し、PI3キナーゼの活性化、Aktの活性化を介して、 糖輸送担体GLUT4の細胞膜へのトランスロケーションを促進し、糖取込みを促進することが示唆された。インスリンレセプターのリン酸化はプロテ インチロシンフォスファターゼPTPにより制御されている。PTPは活性酸素によりコンフォメーション変化を起こし、酵素活性が亢進するレドック ス制御タンパク質の一つであり、還元水はPTP酵素の活性を抑制させ、インスリンレセプターの活性化を起こすことが示唆された。2型糖尿病モデル マウス(db/db)に還元水を飲用させると、耐糖能障害が抑制された。日田天領水については中国吉林省長春市の市民病院でのオープン臨床試験で は、65人の糖尿病患者及び50名の高脂血症患者を対象に日田天領水を1日2リットル、2ヶ月間飲用させた。その結果、糖尿病患者の89%で血糖 値の有意な低下が、また高脂血症患者の92%に中性脂肪(トリグリセリド)及び総コレステロール値の有意な低下が認められた。さらに、福岡市の徳 洲会病院で糖尿病患者に対する2重盲検臨床試験が実施され、日田天領水の飲用により尿中の8-OH dG(体内酸化マーカー)の有意な低下が認められた。さらに広島大学において100名にボランティアを対照にした2重盲検臨床試験が実施され、日田天領水が抗メタボ リック症候群効果を持つことが明らかにされた。

 最近の研究として動物実験を用いたアレルギーに対する日田天領水の効果を検証するために、花粉症アレルギーモデルマウスを用いた試験を行って いる。また動物試験として骨粗鬆症モデルマウスを用い、骨粗鬆症に対する疾病効果についても検証を行っている。

株式会社野口総合研究所共同研究
-腐食土壌発酵抽出液の抗腫瘍効果の解析-

 現代社会においては、地球環境の悪化、複雑な社会形態に伴うストレスの増加などにより、ガン、糖尿病、動脈硬化症、神経変性疾患、アレルギー症 などの酸化ストレス疾患が増加しており、医療費を圧迫する一因ともなっている。酸化ストレス疾患は様々な要因が複雑に絡み合って発症するため、現 代医学における分子標的医薬などでは十分な改善が見込めず、難治性疾患とされている疾病も多い。カタライザー21は約30万年前の海藻由来の腐食 土壌を発酵させたものであり、種々の難治性疾患、とりわけ悪性腫瘍に改善効果を示すとされている。しかし、その活性成分についてはまだ充分に明ら かにされていない。

 本研究ではカタライザー21中の生理活性物質を明らかにするともに、その特性を解明することを目的とする。
これまでの研究によってカタライザー成分が強い抗酸化作用を持つことを明らかにし、限外濾過による分画によってその活性が1000MW以下に存在 することが明らかとなった。分画サンプルの有機分析、元素分析からカタライザーに存在する抗酸化物質は酵素由来分解物の低分子有機金属ではないか と推測された。カタライザーにみられる抗酸化活性は非常に安定していることから、新規の抗酸化物質の存在が期待される。

また、1型、2型糖尿病モデルマウスを用いたカタライザーの抗糖尿効果の動物試験では有意な絶食時血糖値の減少がみられ、耐糖能試験においても 対象と比較して有意な血糖値の回復促進が確認された。培養細胞試験によってカタライザーは糖取り込み活性の促進及びインスリン分泌の促進を行うこ とが明らかとなりカタライザーによる糖尿病の予防、改善効果が期待された。また、カタライザーは担がんモデルマウスによる動物試験によって明らか な腫瘍形成の抑制が確認され培養細胞試験ではマクロファージ細胞の活性化、新生及び転移浸潤を抑制する効果を持つことが明らかとなった。

株式会社ヘルス共同研究
-電位治療器における疾病改善効果の検証-

 電位治療器とは高圧低電流(電圧6000~14000 V、電流0.5 mA以下)によって交流電界または直流電界を発生させその中に人体を置くことで治療を行うという装置で、頭痛・肩こり・不眠症や慢性便秘の緩解に効果があると厚生労働省の 認証 を受けている医療機器である。生じる電界強度は照射する箇所からの距離によって変化するが10000V条件下にて0~100 kV/mの値を示すことが確認されている。しかしながら、これら電位治療器に関する研究は少なく、作用機序についても深く検証されていない。また認証されている効果以外に も利用者から複数の疾病に対して改善がみられるとの報告が多数あり、本研究ではこの電位治療器における生物に対する影響を検証し、報告されている 様々な疾病改善効果について検証を行いその作用機序について解析を行うべく本研究を行っている。

 現在までの研究によって動物モデルを用いた試験では腫瘍モデルマウスにおいて、Colon26細胞を皮下に移植したマウスの腫瘍が一般的な使 用法であるコスモトロンCT-14000の毎日一時間照射によって抑制されることが明らかとなった。また骨粗鬆症モデルマウスを用いだ試験では照 射によって明らかな血中オステオカルシン濃度の上昇が確認された。この結果に反映された骨密度の変化を現在検証中である。またこれらメカニズムに おいて現在遺伝子レベルでの解析を行っている。

 培養細胞を用いた検証も行っており、我々は培養細胞に電位治療器を照射できる条件を確立させ様々な細胞への影響を検証している。免疫細胞であ るCD4+細胞において電位治療器照射によって選択的なサイトカイン分泌促進がおきていることが明らかとなった。また自律神経障害改善の報告 もあることから、神経細胞への影響を検証しているが、分化PC12神経細胞において照射による明らかな増殖促進効果が確認された。

 また植物に対する影響も検証しており、カイワレダイコンを用いた試験によって種子~発芽時における電位治療器の照射により優位な成長促進効果 が確認されており、作用メカニズムについて解析を行っている。

 

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