第71回日本癌学会学術総会

「酵素消化低分子化フコイダン抽出物と抗ガン剤の併用による抗腫瘍増強効果」

第71回日本癌学会学術総会

フコイダンはコンブやモズクのような褐藻類由来の粘性硫酸化多糖類である。

グリコシダーゼで低分子化したフコイダン(LMWFE)はガン細胞に対して抗浸潤及び抗血管新生効果を示した。 LMWFEは活性酸素種依存性JNK活性化及びミトコンドリア介在経路の両方を介してガン細胞にアポトーシスを誘導した。 LMWFEは現在日本において末期ガン患者の治療に広く使用されている。 LMWFEと抗ガン剤CDDP(シスプラチン)の組合せ処理はヒト線維肉腫細胞HT1080に対して細胞生存率の減少と死細胞数の増加を引き起こした。 サブG1解析の結果、LMWFEとCDDPの組合せによりHT1080細胞の細胞死が時間及び用量依存的に増強されることが明らかになった。 興味深いことに、LMWFE処理はヒト正常線維芽細胞TIG-1に対してはCDDPにより誘導される細胞死を抑制した。

これらの事実はLMWFEがCDDPによるガン細胞死に対して増強効果を持つだけでなく、副作用としてのCDDPによる正常細胞に対する細胞死誘導に対しては抑制効果を持つことを示唆した。 さらに、LMWFEはCDDPによるアポトーシス死をカスパーゼ経路及びMAPK経路を介して相乗的に増強することが示唆された。

※第71回日本癌学会学術総会 にて掲載されました。

拡大して論文を見る(PDFダウンロード 893KB)

このページのTOPへ