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スズメバチ被害を回避する

ヒメスズメバチ

スズメバチは、社会性の蜂の仲間です。自然界では節足動物を狩る強力な捕食者として君臨し、生態系の中で重要な役割を果たしています。環境変化に敏感で、一般には自然度を良く反映する昆虫でもあります。

残念ながら、その強力な毒針と毒を人間に向けることがあり、スズメバチに刺された結果、亡くなられる方も毎年出ています。

しかし、スズメバチの習性を知り適切に対応していけば、被害は確実に減らすことができると思います。

被害増加の理由

野外活動中の学童が多数襲われるなどの被害が増えています。福岡市やその近郊は自然が比較的良く残っているため、もともとスズメバチの密度が高いこともありますが、それだけでなく、スズメバチの個体数が都市部とその周辺で増えていることも理由です。

なお、ここで言う「都市部」とは、全く自然の残っていない都会のど真ん中ではなく、雑木林などある程度自然が残っている公園や緑地がある都市とその周辺のことになります。

とりわけ都市部でスズメバチが近年増加している理由について、個人的な考えを「スズメバチが多発するのはなぜ?」(PDF約14MB)に簡単にまとめてみました。教育機関や公的機関などで注意喚起などの公的な目的で使用する場合に限り、自由に参照・コピー・配布していただいて構いません。

※2時間ほどで急いで作った物なので、不正確、不明瞭な点があるかもしれません。お気づきの点がありましたら、お気軽に「お問い合わせ」よりご連絡ください。

スズメバチに遭遇したら

「ブーン」という羽音に怖い思いをした方もが多いかと思いますが、巣が近くにない限り、スズメバチがいきなり人を刺すことはまずありません。このようなときは手で追い払ったり走って逃げたりするのではなく、落ち着いて、普通に歩く速度で後ろに下がりながら距離を置きます。ハチはいきなり攻撃するのではなく、まずは偵察と警告を兼ねてこちら側へと飛来することも多いのです。

暑い日が続くとハチの活動が活発になり、巣が大きくなります。また猛暑を避けるため、普段より風通しの良い場所(軒下など人に接する機会が多いところなど)に巣を引っ越ししている例がかなりあるようです。急にハチの数がとても増えた場合、巣が近くにあるかもしれませんので注意してください。

夏の後半から晩秋にかけて、スズメバチにとってとても重要なシーズンに突入します。次の世代を担う新女王蜂(と雄蜂)が出てくる時期です。彼らにとって1年の総決算ともいえるこの時期は、スズメバチが一番敏感になるとき。彼らの宝である新女王をなんとしても無事に巣立たせる必要があるため、巣に近づく敵とおぼしき生物を働き蜂たちが集団で襲ってきます。

スズメバチの種類によって攻撃性に違いがありますが、まずはお互いに要らぬいさかいごとを避けるのが良いに決まっています。こういう時期は蜂の巣に近づかないことがなによりです。ましてや巣に石を投げつけるなど、蜂を刺激するような事は絶対に避けてください。

参考資料

「八重山地方における注意すべきハチの被害と対策 ~蜂に刺されるのを避けるために~」というテーマで、野外圃場で作業される方を対象とした講演を行いました。こちらに講演資料の一部を紹介しています。

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