動物生命科学研究室
教授 中村真子について


中村が尊敬する研究者
Dr. Mary Beckerle, PhD
私が博士課程4年の就職活動で面接に行った研究室の一つで、私が人生で初めて出会った女性のPrinciple Investigator です。
大阪大学大学院時代、ベッケル先生ががシンポジストとして招待講演を行い、私が空港までお迎えを担当したご縁ができ、博士研究員として勤務したい研究室の一つとしてユタ大学まで面接を受けに行きました。ベッケル先生ご本人がソルトレークシティ空港まで迎えに来てくださりました。空港ではいつまで待っても私のスーツケースが出てこず結局ロストバゲージとなり翌日の着替えがない私をデパートまで連れて行ってくださり、気さくに話しかけてくださりました。ご家族のお話、特に息子さんのお話をうかがい日本ではまだ少なかった研究と家庭の両立を自然にされていることも驚きでした。翌日は私の研究内容のプレゼンテーション後、ご自身が進める研究テーマを情熱的に説明してくださり、お話されているうちにヒートアップされたのか、ベッケル先生の足が床から壁づたいに上がっていくのを眺めながら、ご自身の研究への取り組む姿に感銘を受けました。博士研究員へのオファーをいただけたのですが私は当時細胞レベルのみならず、動物モデルでの研究経験を積みたかったため別の研究室を選びました。その後、Huntsman Cancer Instituteの所長で活躍されていることを知り尊敬の念が深まりました。
Dr. Judith Swan, Ph.D.
Associate Director for Writing in Science and Engineering, Princeton University
私がアメリカで博士研究員として勤務しているときにDr. Swanが招聘され、そのセミナーに出席する機会を得ました。サイエンティフィックライティングという技術を初めて知りました。
Dr. Swanは生物化学で学位を取得し、科学英語という専門分野でプリンストン大学でキャリアを形成されています。その独自のキャリアパスにも驚き、また論文を書く時の動詞の選び方や表現の違いを英語以外の母国語を持つ研究者に対してもわかりやすく説明され、話される英語のクリアさにも感銘を受けました。私が学位を取って20年以上経過しますがまだご活躍されていることにも納得です。TEDトークも見つけました。
阿部 彩 教授
感銘を受けた論文
Myocardin and ternary complex factors compete for SRF to control smooth muscle gene expression

2004年に発表された論文ですが今でも完成度の高さに圧倒されます。
細胞培養と個体モデルを組み合わせた多角的なデータの積み重ね、当時最先端のマウストランスジェニック解析を用いた遺伝子発現の可視化技術が素晴らしいです。当時、私が勤務していたUniversity of Massachusetts Medical School の各フロアには主要な論文雑誌の最新号が完備されていました。いつも通りにフロアのソファとコーヒーテーブルでランチを食べながらNature最新号をパラパラとめくっていた時に、この論文を発見した時の衝撃を今でも忘れません。
あれから20年経過しますが、この時以上の衝撃論文に未だ出会っていません。
その他の推し(研究以外)
江波 富士子さん
https://filament-jp.net/hito/interview/fujiko_enami_episode1.html
数年前に偶然個展に遭遇し緻密で美しい作品とその技術に感銘を受けました。小さいけれど、完成度にこだわったものを組み合わせて作品に仕上げていく様が、一つ一つのデータにこだわり、それを組み合わせFigure化し論文に組み上げていくステップに重なり、江波さんの作品に励まされています。
マリーローランサン
この時代(ピカソ、マティス等)に活躍した希少な女性画家です。自分なりの描き方を探究することで成功し経済的にも自立した女性画家にであった点も非常に尊敬し、また作品の独自性にも励まされています。当時、自分の特徴や強みを活かして、作品を作り続けられたことに励まされます。
円山応挙(龍門図)
江戸時代の絵師です。龍門図は3枚の絵からなります(3幅対と呼ぶようです)が、その真ん中の鯉が私の一推しです。最初は何の描いているのか判別不能でした。鯉が滝をのぼる様を白抜きにしているのに気がつき目を凝らしてみると、その合間に鯉の鱗まで描いてあり、そのアイデアに感銘を受けました。自分なりの表現法とアイデア勝負なところが研究にも通じるものがあると感じ、Think out of the boxのお手本にしています。