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講演者:藤井 祥 先生(弘前大学農学生命科学部 生物学科)
日時: 12月1日(月)15:00~16:00
場所:京都大学 理学部2号館第1講義室(120号室)(対面のみ)
講演タイトル: 葉緑体発達を支える膜脂質に依存した遺伝子発現制御
講演要旨:
植物は環境や発生段階に応じて葉緑体の分化状態を自在に切り替える。たとえば,発芽時には未分化な色素体が葉緑体に分化し,光合成能力が獲得される。葉緑体の分化には,チラコイド膜を形成する脂質や,光合成反応を担うタンパク質の合成が不可欠である。光合成タンパク質をコードする遺伝子は,核ゲノムと葉緑体自身のゲノムの両方にコードされていて,光に応答して発現が誘導される。このような光合成関連遺伝子の光依存的な発現には様々な転写因子やシグナル伝達経路が知られている。発表者はシロイヌナズナを用いた解析から,チラコイド膜を形成する脂質の合成が,核と葉緑体における光合成遺伝子の発現誘導に必要であることを発見した。詳細な解析から,葉緑体の脂質合成は核へのシグナル伝達系を介して核の遺伝子発現を制御していることが分かった。さらに,核の制御とは独立した仕組みによって,葉緑体内部で脂質が転写や翻訳を調節している可能性が見えてきた。葉緑体では,膜上で転写や翻訳が制御されていることから,脂質合成によって変化する膜の組成や構造,膜上のタンパク質の動態が遺伝子発現に重要であるのではないかと考えている。このような光合成遺伝子の膜脂質駆動型発現制御モデルを紹介し,葉緑体分化を可能にするメカニズムについて議論したい。


