ヨーロッパトビチビアメバチ
ヨーロッパトビチビアメバチ Bathyplectes anurus とは
ヨーロッパトビチビアメバチは、マメ科牧草やレンゲを食害する侵入害虫アルファルファタコゾウムシの幼虫のみに寄生する蜂です。アルファルファタコゾウムシの生物的防除のため、1980年代に米国から導入され、定着しました。このように、永続的な効果をねらって外国から天敵を導入することを「伝統的生物的防除」と呼びます。
門司植物防疫所、日本養蜂協会のご協力のもと、ヨーロッパトビチビアメバチの放飼増強や生態系への影響評価などを行い、2014年に生物農薬「ヨーロッパトビチビアメバチ剤」として登録いたしました。

レンゲ上のヨーロッパトビチビアメバチ

アルファルファタコゾウムシの幼虫と成虫
ジャンプするヨーロッパトビチビアメバチの繭

ヨーロッパトビチビアメバチの繭
画像クリックで繭がジャンプする様子をご覧頂けます(MP4 / 約4MB)。
ヨーロッパトビチビアメバチは、アルファルファタコゾウムシの繭の中に自分の繭も作ります。
5月中下旬にその繭が地表に落ちた後、ジャンプして涼しく湿った暗所へと移動します。また、ジャンプによって捕食者を避ける効果もあります。ただし、ジャンプし続けると体重が減ります。
ヨーロッパトビチビアメバチに関する論文が紹介されました
ジャンプする繭に注目した佐伯らの論文は、アメリカ科学振興協会(AAAS)が運営する科学・医療分野のニュースサイト「EurekAlert!」や、アメリカ昆虫学会(ESA)のニュースサイト「Entomology Today」で紹介されました。
- Saeki, et al (2016) The Science of Nature 103: 1 (9pp). (DOI: 10.1007/s00114-015-1324-1)
- Wasp larvae jump to the dark side (「EurekAlert!」より)
- Cocooned Wasp Larvae Jump to Find Cool Spots, and to Protect Themselves (「Entomology Today」より)