筋幹細胞による筋線維型の自律制御

骨格筋の収縮・代謝特性は、筋線維型(遅筋型・速筋型)の割合に依存しています。また、家畜や家禽の骨格筋における筋線維型の割合は、最終産物である食肉の品質にも深く関連すると考えられています。骨格筋における筋線維型はどのように決定されているのでしょうか?多くの研究グループでは、骨格筋中に存在する運動神経による「神経刺激制御仮説」というアイデアに注目していますが、私たちは他にも筋線維型を制御できる機構が存在しているのではないかと考えています。すなわち、骨格筋の組織幹細胞である衛星細胞が融合して新生筋線維を形成する際に、運動神経の影響を受けずに自律的に筋線維型が決定されているというアイデアです。これを「衛星細胞による筋線維型決定機構」と銘打って細胞生物学的アプローチで追究しています。遅筋型または速筋型の新生筋線維の形成を促すタンパク質の存在や、細胞外からの物理刺激の影響などに着目しています。

自律制御機構(予想モデル)の概略図
筋組織の横断切片を筋線維型マーカーで標識した蛍光免疫染色像
(筋組織には様々な筋線維型を有した筋線維が混在する)
培養衛星細胞が融合して形成した新生筋線維を
筋線維型マーカーで標識した蛍光免疫染色像