九州大学熱帯農学研究センターは、学部や大学院とは独立した学内共同教育研究施設です。1975年に「熱帯地域の農業及びこれに関する環境の基礎的研究を行うとともに、熱帯農学の研究を志向する学生及び研究者との交流・共同研究を通じて、熱帯農林業の発展に貢献する」ことを目的に設立されました。1988年に「作物生産部門(現:熱帯作物・環境部門)」と「地水・環境保全部門」が設立され、2013年には「国際開発部門」が加わり、現在の体制が整いました。
熱帯・亜熱帯地域では、生物多様性の喪失や森林資源の消失、地球温暖化による農作物生産への悪影響や降雨パターンの変動による水資源の不足など、地球規模の環境問題が顕在化しています。また人口増加に伴う食糧不足や工業化に伴う農村地域の公害の課題も、近年深刻化しています。熱帯・亜熱帯地域の緑豊かな地球環境を守りつつ,食糧生産を向上させるためには、「持続可能な農林業開発と環境の保全」を目指す必要があります。
熱帯農学研究センターでは,これらの問題の解決を目指し、よりよい社会を目指すために、熱帯・亜熱帯諸国の研究者や国内の他大学の研究者らと国際的な共同研究を実施しています。そして、学際的研究で得られた成果を社会へ普及しています.
また熱帯・亜熱帯地域の多くは発展途上国であり、これらの国々の農林関連行政機関、現地NGO、地域住民、研究者らと協力して国際協力も実施しています。
さらに熱帯農学研究センターの教員は、九州大学の大学院「生物資源環境科学府」と「地球社会統合科学府」の教育(修士・博士課程)を担当しており、国内だけではく海外からも大学院生を受け入れています。